童話と賢治
カンパネルラとジョバンニの二人の銀河への旅の始まりです。
宮沢賢治は、その37年の生涯を、夢の中に生きた人のような気がします。
賢治の感性は、環境問題や法華経、自然科学、芸術や農村社会問題、教育とあらゆる角度を向いています。
農学校の教師として稲作の改善に奔走する一方、
彼は、おおよそ百篇の童話を書いています。
今日の日本の童話作家は、多くが女性です。
でも賢治は、有り余る感性を持て余しながら、さまざまな童話を書いているのです。
「法印の孫娘」「フランドル農学校の豚」「セロ弾きのゴーシュ」そして「銀河鉄道の夜」などですね。
彼の童話に登場する人物や不思議な行動には、奥深い暗示のようなものがあります。
そんな賢治の童話が、今日本の子供達にどの位読まれているでしょうか?
話は少し変わりますが、ベルギーのアントワープを舞台にした童話、
「フランダースの犬」を読んだことがありますよね。
あの貧しいネロ少年と老犬パトラッシュの悲しい物語です。
子供の頃、この童話を読んで胸がキュンとなったのを今でも覚えています。
あの童話は、実はその舞台となったベルギーでは、ほとんど知る人が無いんだそうです。
作者が、英国人の女性作家ウィーダで、ベルギーの人情を冷たく書いているのが理由かもしれません。
しかし子供の私にとって、アントワープの大聖堂に掲げられたルーベンスの名画の前で死んでいく、
ネロ少年と老犬の話は大変にショッキングでした。
ベルギーでフランダースが知られないように、童話とはそんなものだと言うことでしょうか。
それに、賢治の童話が余り知られないのは、東北弁で書かれていることと、
今日の私たちの生活が、余りにも自然とかけ離れた所に生活しているからでしょうか。
それにしても昭和8年、「ああいい気持ちだ・・・・」と言って、37歳でこの世を去った賢治は何者だったのでしょうか。
ちなみにこの年、日本は国際連盟を脱退、ドイツにはナチス・ヒットラー内閣が誕生しています。
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