大向う
しかし我々庶民にすれば、そんな事は人生に一度有るかないかのことである。
もとより衆人に納得してもらって、良くやったと言われるれる人は幸せだ。
それは名物市長であったり、宇宙飛行士であったりする。
だけど一般庶民であっても、何か生きた証を残したいと思うのは極自然なことだろう。
防犯おじさんや交通安全母さんだって良い。
そのことに納得して、打ち込むことができればそれで良い。
こんど私の村の自治会で、防犯ボランティアを募集しようと思っている。
そもそも「大向う」とは、一般庶民のことなのだ。
江戸の昔、歌舞伎の桟敷席などは、高嶺の花だった。
そして、やや安い二階の正面の席は、向桟敷と呼ばれた。
大向うでは、十文くらいで見物できたから、職人や手代などの芝居通が集まっていた。
言うならば、目の肥えた芝居通が毎日のように通うところだった。
それが「大向う」だ。
多くの人々に支持されてこその芝居である。
人生も一時の芝居であるとすれば、大向うを意識しても良いのではないか。
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