山と人とお茶と
人々は山に生業を求めて、千年も前から中山間に住み着いてきた。
近世の経済・工業社会は、そんな山の営みをずっと否定し続けてきた。
それで山に住む人は、老人と僅かばかりになってしまった。
山また山のこの日本列島の大部分が、人の住まない所になろうとしている。
大都市の快適なマンションなんて、本当は人の住む所ではないのかもしれない。
隣に誰が住むのかも知らず、みんな孤独でせせらぎの流れすら身近にはない。
辛うじて、お茶のある所に人が住んでいる。
山の斜面に幾ばくかの茶園があって、一定の所得が得られたからだ。
だがそのお茶も、少々怪しくなっている。
高度経済成長期に、みんなヤブキタになってしまって、特徴のある山の茶が無くなった。
生産条件の劣悪な山の茶が、平坦地の茶と同じ土俵で競争できるはずがない。
それで、山を放棄する人が増えているのだ。
山でなければ出来ない豊かな生活をするのだ。
そんなやり方こそ、山の生活を復活させることができる。
ともあれ、希少価値を創造して、山の生業を取り戻すことだ。
手摘みする農家の皆さんを見ながら、そんな事を考えた。
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