時代の求めるもの
彼らの業が成り立っていた内は、鳥獣害と言う言葉すらなかった。
毛皮や肉、そして熊の胆などが、珍重された時代が長く続いたのだ。
日清・日露戦争なぞは、狩猟による毛皮のお陰で戦えたのだ。
戦後の繊維産業や養豚で、狩猟は業として成り立たなくなった。
結果として、森の動物達が跳梁する時代が来ているのだが・・・。
畑でも、同じことが言える。
浜松の三方原は、白菜や馬鈴薯の産地であった。
それが、戦後の進駐軍の需要に応える形で、洋菜の栽培が盛んになった。
セルリーが、その代表的なものだ。
その後の高度経済成長で、そのセルリーが洋食とともに珍重される時代が続いた。
セルリー生産は、冬から春は静岡、夏は長野でもっぱら生産されてきた。
しかし、バブル崩壊以降、消費は減退するし、価格も低落する。
もとよりセルリー生産は、半年掛りである。
それが、デフレ経済の中で敬遠されたのだ。
そんな時代の動向をいち早く察して、経営転換したのが、
(有)佐野の佐野誠社長だ。
銀行員からセルリー生産者に、そして今はサラダ菜の生産を業としている。
セルリーなら年一作だけれども、水耕サラダ菜なら10作は可能だ。
と言う訳で、200a余のハウスを駆使して、一日1000ケースの出荷を続けている。
従業員は、パートを含めて23名。
年間の売り上げは、1億2千万円ほどである。
水耕の施設も、自ら考案するし、立派な出荷場だって、佐野さん自身の施工だ。
時代の流れを透徹してみつめ、自分の経営展開をフレキシブルに変えていく。
これは、製造業も農業も同じことなのだ。
時代の求めるものを、時代の求める価格で供給してこその企業なのだ。
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