茶室の窓は、モミジが明るく輝いて息を呑むようである。
その格子戸を眺めながら、朝比奈の玉露をいただく。
そこには、馥郁とした茶の香りと静寂があった。
駿府公園の一角にある紅葉山庭園の茶室だ。
静岡の街中にこんな空間があるなどと、
忙しく立ち回る人々にとって思いもしないだろう。
さらに紅葉山の庭は、静岡の里や海、山を擬して、
駿河の名勝を巧みに表現している。
勿論、富士山や三保の松原、
茶畑に見立てたサツキの築山なども風情がある。
四季折々の変化を、この庭は克明に刻んでいるのだろう。
そのためかどうか、この庭の評価は海外で高いのだそうだ。
私自身、何年か振りで訪れて、庭園美の認識を新たにする思いだった。
家康公だって、こんな見事な贅沢はしていなかったのではないか。
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