加賀の茶屋街
加賀百万石の城址近くに二箇所、かつての茶屋街が残っている。
江戸期そのままの風情を残しながら息づいている。
と言っても今日の業態は、喫茶や博物館、土産物屋などだ。
その一箇所は遊郭、そして私達が訪れたのは色町かな?
壁には三味線が掛かり、屏風の横には太鼓がある。
そんな部屋を巡りながら往時に想像をめぐらす。
もちろん茶屋遊びなぞ映画の中でしか知らないが、
どこからか三味の音が聞こえてくるような気がする。
もとより加賀侍は、その藩風として時勢に鈍感に出来ていた。
その証拠に、幕末にたった一人の志士も輩出していないのだ。
ゆえにこの茶屋で交わされた会話も、
勤皇の志士達のそれとは随分違ったろう。
座敷だって、それぞれが比較的小部屋だ。
床の間を背にして座ると、その正面は控えの間だ。
そして控えの間は、演舞の間でもあった。
飲んで議論なんて無粋で、しっぽりと遊興を楽しむ場だったろうか。
ともあれ階級社会の故に、数多く茶屋が軒を並べたのだろう。
それにしてもこの一角、良くぞ残ったものだと思う。
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