霊峰に挑む
今夜は、山頂を目指して麓を走っている。
富士山頂往復マラニックに挑戦して、もう何度目だろうか。
この田子浦の海抜0mから山頂を往復する24時間レースは、
毎年高山病に苦しめられてきたし、昨年は荒天で死ぬ思いをさせられた。
それで未だに完走できていないレースなのだ。
田子浦の突堤もドカッと蒸していた。
汗は、スタート前から背を流れている。
とにかく今年は、急がずに走り続けよう。
波音を耳にそんな決意を胸にスタートしてきた。
富士の市街から富士宮の浅間神社の脇を抜け、
富士スカイラインをひたすら登っていく。
スカイラインは、5合目までの25kmほどの道程だが、
この何時果てるとも知れぬ真っ暗な道を、只黙々と走り登っていく。
見えるのはヘッドランプの照らす路肩の白線だけだ。
果たして昔の修験者ですら、こんな過酷なことはしなかったろう。
私はその修験者でもなく、いわんや亡者でもない。
目標に向かう一個の人間に過ぎない。
黙々と辿る道すがら、やはり考えているのは昔のことやこれからのこと。
そして何時の間にか、頭の中は空白になっていく。
とは言え「やはり富士山は仰ぎ見るものかしらん」と思ったもする。
「わが庵は 松原続き 海近く 富士の高嶺を 軒先にぞ見る」(道灌)
| 固定リンク
| コメント (1)
| トラックバック (0)
最近のコメント