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2010年10月 8日 (金)

玄妙 狂の舞

前衛舞踊とは聞いてはいたが、しかし・・・と言う感想だ。

闇夜に僅かばかりの明かりがある。

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音楽も無く、聞こえるのは虫の声ばかりだ。

立ち木の向こう側でもそもぞと何かが動いている。

何が起こるのかと息を呑んで待つのだが、何も起こることは無い。

やがて木の隙間から一人の踊り手が現れる。

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下駄を脱ぎ捨て、異様な形相で靴下を脱いでいく。

さらに赤いシャツをも海老反りになって脱ぎ捨て、

右に左にと裸で走り回る。

やおら地に倒れこむと、今度はその地べたをゴロゴロと転げまわるのだ。

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汗びっしょりで、その汗に土がまとわり付いていく。

そんな一時間余の演舞の後、

彼は「ニャーゴ」と一声叫んで一連の舞台を終えた。

踊り手は田中泯さんだ。

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地べたに御座を敷いた会場には、

70歳になろうとする彼の踊りを見る為に、200人余が取り巻いている。

仮に私が同じ事をやったとしたら、それは狂人の他何物でもなかろう。

前衛舞踊家田中泯だからこそ、

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観衆は息をつめてその「舞台」を見つめている。

そもそも芸術は、形に意味を持たせその洗練に美を見出してきた。

芸術は、整形の美であったはずだ。

私達は、その形に物語を見出して納得して来た。

しかし彼は、そんな諸々をことごとく無視して、

何ものかを表現しようとしている。

私なぞは、その幾ばくにも納得し得ないでいた。

田中泯の世界は、それほどに人生の無為を表している。

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