苦肉の功名
新潟県の新発田市郊外にその工場はあった。
(有)ヤスダヨーグルトの工場だ。
この会社の製品は、北海道から沖縄まで全国に供給されている。
実はこの会社は、昭和63年に酪農家16名で設立されたものだ。
この創業の頃は、牛乳の生産調整で苦しんだ時代だ。
当時、乳価の低迷やら飼育頭数制限、
そして乳量買い入れ制限などと出口の無い苦境の中にあった。
その苦境の中で、牛乳を田圃に流すよりはましだろうと始めたのが、
このヨーグルト作りだった。
ところが牛乳100%のヨーグルトは、
健康ブームとも相俟って思いの他の評判を呼んだ。
そうして、品質NO1の評価を一気に得てしまったのだ。
それからは順風満帆、有数のヨーグルト会社に成長したという次第だ。
昨今、農業の六次産業化の大合唱である。
だが現実には、新たな商品や知恵がそんなに転がっている訳もない。
米粉関係や農商工連携にも革新的技術の開発が不可欠だ。
そんな事を考えると、
ヤスダヨーグルトのように「農の品質」も重要なキーだ。
飽和状態の乳製品のマーケットに、品質だけで市場を開拓できたのだ。
ただその品質を、誰もが認める形に出来るか否かが肝心だ。
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