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2011年4月11日 (月)

雁の寺

京都洛西の等持院は、足利尊氏が開創した臨済宗天竜寺派の寺だ。

この寺は足利家歴代の廟所になっていて、

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尊氏から義昭まで足利15代の坐像が祀られている。

衣笠山の南麓に位置するこの寺は、ちょつとした観光寺だ。

それは夢窓国師の作庭という庭の美しさもさることながら、

小説家の水上勉が寺小僧として少年時代を送った寺だからだ。

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彼は悲惨な小僧時代の体験をもとに小説「雁の寺」を書いた。

彼は10歳の時に、口減らしの為に寺に小僧として出された。

小僧といっても、炊事洗濯から塔頭や庭の掃除一切をやらされる。

朝も暗いうちから働くのだが、和尚は寝たままで小僧を起こした。

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小僧の手首には紐が巻かれ、

それを離れた部屋から引っ張って起こすのだ。

その和尚は、内妻を愛撫しながら小僧を引き起こすことすらあったという。

ともあれ小説では、小僧はその和尚を亡き者にしてしまう。

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一面推理小説のような絶妙な構成で、襖絵の雁だけが常に彼を見ている。

和尚と内妻との肉欲生活、そして和尚への憎悪、

その人間模様は彼自身の少年時代の体験がベースになっている。

腹を空かせた主人公の滋念は池の鯉を小刀で殺して食うのだが、

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小僧時代の水上は池の亀に石を投げつけて、

その割れた甲羅から流れる血を見て過ごしたという。

貧しい時代だったとは言え、まだ母親の恋しい幼年時代のこの体験は、

彼の著作の奥深い底辺となって続く。

それが「飢餓海峡」であり「一休」「金閣炎上」などだ。

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