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2011年7月13日 (水)

諸行無常の響き

直近のこの三年間のことを考えている。

経済も政治も災害も、世に稀な異変が続いて三年間だった。

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改めてそう思うのだ。

言うまでもなく三年前のリーマンショックは、世界の経済を凍らせてしまった。

各国ともその余波から未だに抜け出せないでいる。

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2年前の政権交代では、期待とは裏腹に政治への深刻な失望をもたらした。

そしてこの3月の東日本大震災である。

そのいずれもが多くの悲劇や対立を巻き起こして今日に至っている。

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これを諸行無常と言わずして何と言おうか。

だがこの悲劇は、かなり密接にリンクしていることに気づく。

金融至上経済の破綻と爬行の行き詰まりが政変をもたらし、

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ばらまき政策はたちまちにして破綻したのだが、その破綻を震災が隠してしまった。

程度の低い管内閣が生き延びている所以である。

人々の不幸を餌にする内閣は歴史上何人かいるのだが、

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当然ながら、そのいずれもが悲劇の末路をたどっている。

この国の最少不幸どころかそのどん底に引き込んだのが管内閣だろう。

最後は歴史が判断するとしても、とりあえず面前の不幸にも対処できないのだから辞めてほしい。

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とは言え、国民の不幸が広がれば広がるだけ栄えるのがこの政権かも知れない。

経済も政治も復興も立ちすくんでいる。

これが無常でなくて何なのだろうか。

しかも、この政権は私を含め自分達が選択した結果なのだ。

民主主義というのは、まったくコストの高いシステムだ。

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経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

民主主義と言うより、自由と平等の名のアメリカ式、弱肉強食の社会に完全移行しようとしてるわけです。
 こんな世の中でも、したたかにお金儲けしている人も多いですよ。
 未曾有の経済危機だと言われた、昭和の初めよりマシでしょうが・・・。
 日本は、日本伝統と日本民族の形で有り続ける必要がある気がします。
 幕末時と同じく弱肉強食のアメリカが乗り込んでくる。
 当時の西の大陸諸国も劣強国では、無くなった。日本の取るべき態度は、しっかりとしたものでなければならんないです。
 このままでは、日本人も国土さえも日本のものでは無くなってしまう気がします。
 TPPも農産物の自由化よりも、JAやJTのお金が目当てなのだと言う人がいます、本当は、そこが狙いだと・・。
 1000年に一度と言われる未曾有の震災を経験しましたが、さらに 間もなく、東海の地も関東地震も巻きこんで、四連動の地震が起きる可能性があります。
 数時間、数か月のずれは、あるかもしれませんが、まずは同時期に起きるでしょう。
 関東地震、東海地震、東南海、南海地震です。全てにサイクル時期を満たしています。
 1000年に一度をもう一度現代人は、経験するでしょう。
 その時、日本経済は、日本を立て直すことが出来るでしょうか。
 浜岡も冷温停止しているだけです。水か抜ければ、再臨界の始まりです。一時間も津波は、襲い続けるわけで、その間作業者は、免娠棟に避難してるた゜けで、手も足も出せない。免娠棟には、全ての人は、収容出来ず、多くの人は、福島と同じく逃げ出す覚悟です。
同時に電力の完全喪失も必要なく、事故は、始まるわけです。

 話はかわりますが、月末にボランティアで、岩手県の遠野市のボランティア協会のお手伝いをして来ます。
 この目で、五感を使い被災地を見てきます。

投稿: ひろ | 2011年7月14日 (木) 06時53分

 ひろさんが近日、ボランティアに行くようですので、急ぎコメントします。
 ひろさんは「浜岡原発が冷温停止していても再臨界の恐れが残っている。」と不信感をあらわにしています。前にも同じ発言があったと思います。私の考えは違います。「再臨界の恐れは全く無い」と考えているからです。

 「めどもなし」に13日にコメントした「ストレステスト」の形で説明させて頂きます。
 ひろさんの設問「冷温停止した浜岡原発は津波で再臨界に至るか。」という課題で「ストレステスト」をキックオフします。それに私が答えるわけです。

1.設問
 冷温停止した浜岡原発は津波で再臨界に至るか?

2.結論
 冷温停止した浜岡原発は津波で再臨界に至ることはない。

3.理由
(1)制御棒に関連して
 制御棒が挿入されている限りは再臨界に至りません。これが原子炉の基本です。
 ただし、誰かが誤って制御棒を下げれば、容易に再臨界に至ります。冷温停止中は誤っても、制御棒のロックを外さないことが鉄則になります。

(2)水が抜けた場合に関連して
 原子炉ではウラン235が核分裂した中性子を減速する水や炭素が欠かせません。従って、沸騰水型原子炉で水を抜けば減速材が無くなるので、再臨界に至ることはありません。

(3)原子炉の圧力に関連して
 冷温停止している場合には、原子炉内は大気圧になっています。従って、津波等で被災を受けても原子炉に損傷が無ければ、海水注入等の非常時処理が簡単に実施できます。
 福島原発の緊急停止の際には、圧力が10~20気圧程度になっていたので、10気圧の海水ポンプでの注水が困難になることは自明でした。
 この差は大変に大きいと推察します。

4.その他
 運転時に被災した場合に、最も重要な操作は「制御棒の挿入」です。福島原発は「制御棒の挿入」が終了していたので、レベル7で収まったといえます。
 浜岡原発を継続運転していて、東海地震が発生し津波に襲われた場合、最初の試練は「制御棒の挿入」です。冷温停止している場合には、既に制御棒が挿入されています。その安全性の差は歴然としていると考えます。

 欧州の「ストレステスト」は以上のように実施され、国民の賛同を得ていると推察しています。日本の保安院が、どのように「ストレステスト」を翻訳するか、我田引水に意訳するか、注意深く見守りましょう。

投稿: 米山 | 2011年7月14日 (木) 20時17分

米山様、心配しているのは、圧力容器も含めて、使用済み燃料プール等の耐震性です。
 非常用電力喪失をしなくとも、プール事態が、破断する危険は、無いでしょうか?
揺れは、直下で起き、断層が直下で作用したらどうでしょう。
 ただの不動沈下だけで済むでしょうか?
 浜岡の取水口は、陸上内のプールにありますよね。
 海とは、トンネルで接続しています。
トンネルの落盤による、冷却水の喪失も考えられます。
 津波が来る間は、仮設配管が出来ませんが、どうやって冷やしましょうか?

ストレステストの内容は、はっきりと分りません。
 報道がなされましたか?
 まだでしょう?
 通産省のストレステストですよね。
身内じゃないですか?


 親族が敦賀原発に勤務する近くの知り合いの話では、敦賀は、危険・・・。
 勤務する人間が怖がっています。

敦賀の何が危険かよく聞いて来ますね。


 もんじゅも去年の八月の事故を回復していません。

 

 制御棒も水が有っての効果です。
冷却水の喪失は、考え憎いでしょうか?
確かに大気圧で冷温停止してる状況でしょう?
 まだ日にちが余り経ちませんが、大気圧まで下がっていますか?
 過去、2009年辺りの駿河湾内の軽微な揺れで、一番新しく耐震性もある5号機が一番揺れています。
 耐震性のある5号機が一番揺れたことは、古い号機とは、少し地盤の違う所と言うことになりませんか?

 柏崎原発は、設計強度の二倍の揺れを経験して耐えましたが、 浜岡は、2009年の軽微に振動で、かなり揺れたと言うことはですよ。東海地震の想定される揺れで、どの位揺れるか心配なのです。

 ともあれ停止したと言え、心配のまま見守って居る訳です。
 私の住居からも遠くはありませんからね。

 山草人さまの家からは、極めて近いです。
心配ですよね。

投稿: ひろ | 2011年7月15日 (金) 00時18分

 ひろさんへ

 現場技術を熟知しているひろさんならではの、再質問を頂けるのは嬉しいです。回答文を考える過程で私自身が成長していると感じます。真摯に議論することが人を成長させるのではないでしょうか。 この問題は思想信条に関係なく早期の応答が可能と考え、即答させて頂きます。

1.圧力容器と使用済み燃料プール等の耐震性
(1)圧力容器の耐震性
 専門家の間では議論されていないようですが、圧力容器は元々構造的に耐震性が高いのではないでしょうか。柏崎原発が1G以上の震度に耐えたとの新聞情報から、個人的には2Gでも3Gでもたえるような気がしています。問題は支柱や取り付け配管の損傷ですが、この対策は技術者の力量が問われると思います。一応、私はこの道のプロだったという自負もあります。

(2)使用済み燃料プール
 「使用済みプール」の耐震性ですが、元々原子炉建屋内にあることが、世界的にみて異常ではないでしょうか。速やかに、世界標準に合わせた場所に保管すべきでしょう。現状でも大丈夫と思いますが、何かあれば日本の技術が笑われます。
 応急措置として、運転休止中なら、プールや建屋の耐震補強工事が容易です。
 緊急時の注水ですが、福島原発では水素爆発により放建屋内に射性物質が散乱してしまったために、プールの近傍に消防士が入れませんでした。一般には、緊急時に消防士が入って注水できると思います。

2.断層が直下にあった場合
 ストレステストで対応策を講じるべきという判断が成されれば、底板を一体化構造(実質的に剛体)として地盤の凸凹を完全に吸収できるようにすれば可能でしょう。課題は金銭問題だけと考えます。

3.取水口のトンネル落盤
 トンネルの耐震性は高い、と言われてきました。これは、関東大震災に際して、丹那トンネルの損傷が軽微だったからのようです。更に、後の伊豆地震で伊豆急鉄道のトンネルが断層により途中で横移動しましたが、構造的崩壊は免れています。

4.冷却水の喪失と仮設配管
 福島原発の1号炉~3号炉の圧力容器の必要冷却水量は80L/分であったと聞いています。この程度でしたら、素人考えで消防車でも充分と思っています。
 ストレステストは専門家が実施します。消防車で無理という結果になれば、仮設配管とはいわず、耐震性を考慮した常設配管を敷設しておけば良いでしょう。事前に指摘されれば対応可能ということです。だから普通の状態でストレステストしておくことが重要なのです。

5.ストレステストの内容
 ひろさんがおっしゃる通り「ストレステストの内容は、はっきりと分りません。」
 どうして、保安院や東電の優秀な技術者が「欧州の電力会社が簡単に3ヶ月で処理したストレステストを、半年かかる1年かかる」と自信なさそうに先延ばししているか、理解に苦しんでいます。彼等が世界で笑い者にされるのは構わないのですが、我々日本の技術者も一緒に巻き添えにされるのは迷惑千万です。

6.「もんじゅ」対策
 50年前に、「液化ナトリウムを扱うのは至難の業」と大学で教わりました。しかも、福島原発で「原子力の運転能力とこれを支援する技術サポート能力の貧弱さ」が暴露されました。ひろさんが暗黙に主張しているように、「もんじゅプロジェクトは即刻中止すべき」です。

7.「制御棒も水が有っての効果です」
 水が有ってようやく始まる臨界ですから、水が無ければ臨界に至ることも無く制御棒も不要になりますが・・・。
 ひろさんのご質問の意味が良く分かりません。再質問をお願いします。

8.「日にちが余り経ちませんが、大気圧まで下がっていますか?」
 私が運転しているのではないので、断言はできませんが(笑)、間違いなく大気圧です。
 わざわざ大気圧以上にしておく必要が無いこと、と、大気圧にすることが容易だからです。(復水器の戻り水温を50℃程度で1000L/分以上で循環すれば1日程度で大気圧になる気がします。暗算と勘ですが。(笑))
 ひろさんが、圧力容器の構造等の条件を提示してくれれば、「蒸気表」利用して電卓で一日程度で概算時間を計算できると思います。

9.地震による応答の相違
 確かに、地震は夫々に個性があり、一筋縄ではいかないと思います。
 しかし、構造物にも夫々に個性があります。それをストレステストという手法を利用して地震時応答を議論し、安価な加工修正で被害を出来るだけ減じることが、我々技術者に求められていると理解しています。
 私自身が、40年前に「暗黙裡のストレステスト」を実践してきたように思っています。私は「知恵で安全性を高める技術者による隠れた保険」と言ってきた手法です。
 なお5号機の問題ですが、基礎部分での震動でしたら、下部地層の影響でしょう。上部構造物での震動でしたら、構造物の応答解析が重要になると思います。

10.敦賀原発
 3月11日に私が感じた印象です。
 一番恐怖に震えていたのが、東電社員ではないか、と感じたのです。
 その時に「東電社員は安全神話というフィルタを通した、素人的な原発知識しか有せず、基本的な放射線知識を学んでいないから、パニックになった。」と理解しました。敦賀の方も、同じパターンと思います。
 ひろさんを媒体として、敦賀の方の悩みも解決できたらな、と期待しています。

投稿: 米山 | 2011年7月15日 (金) 19時36分

米山氏は、原子力安全委員会の記者ブリーフィングを見てストレステストに賛意を示すと言われたので小生も原子力安全委員長が海江田経産大臣に宛てた「既設の原発施設の安全性に関する総合評価に関する報告について」(以下総合評価報告という)と「記者ブリーフィング」の両方を見てみた。
原子力安全委員長は総合評価報告の冒頭で、この報告を求める意図について次のように指摘している。
「発電用原子炉施設の設計や事故時運転手順、アクシデントマネージメント策は多重防護(defense in depth)の考え方に基づいており、設計上の想定を超える事象に対しても頑健性(ロバストネス)を有することが期待されている。しかしながら、設計上の想定を大きく上回る津波のように、ある大きさ以上の負荷が加わったときには、共通的な要因によって安全機能の広範な喪失が一時に生じるような、いわゆるクリフ・エッジ効果を生じることがあり、東京電力福島第一原子力発電所における事故は、このような効果が原因のひとつとなって進展したものと考えられている。いわゆるクリフ・エッジ効果に代表される潜在的な脆弱性を見いだし、それに対処するためには、設計上の想定を超える事象に対する発電用原子炉施設の頑健性を総合的に評価することが不可欠である。
これまで原子力安全・保安院においては、今回の事故を踏まえ、各電気事業者に対して、数次にわたり種々の緊急安全対策やシビアアクシデントへの対応措置の実施を指示し、それらの実施状況についても確認を行ってきたとしている。これらの措置は、それぞれ発電用原子炉施設の安全性の向上に資するものと認められるが、今回の事故の教訓を踏まえれば、種々の対策や措置が全体として、どのように発電用原子炉施設の頑健性を高め、脆弱性の克服に寄与しているかを総合的に評価することが必要である。(中略)
以上を踏まえ、原子力安全委員会として、原子力安全・保安院において、既設の発電用原子炉施設について、設計上の想定を超える外部事象に対する頑健性に関して、総合的に評価することを要請するものである。」
上記を素直に読めば、今ある全原発の個々の耐震(津波を含む)リスクやその他のリスクに対し行ってきた安全対策は、今回のような未曾有の震災に対しては不十分だったので改めて施設や運営の頑健性や脆弱性を全て総合評価し、問題あるものがあれば停止または廃炉させる意図を示したと思った。(原発のハードとソフトを含む総合評価)
しかし、記者ブリーフィングでのやり取りを見て大いに失望した。安全委員会としては個々の原発の総合評価はしない。「総合評価で不合格はない」と言い切っている。
○朝日新聞高山記者
今のご説明では、直感的に言うと穴のあいたところをとりあえずふさいだのが緊急安全対策というイメージだとしたら、それは全体を見て、それが本当に十分機能するかどうかというのは、そういう意味ではまとめてみないと、果たして、今おっしゃったようなぎりぎり合格かどうかすらも、結局は分からないのじゃないか、というふうにも思えるんですけれども、逆に言うと、このテストをした場合、例えば、ぎりぎり不合格ということが理屈としてはあり得るということでしょうか。
○ 班目原子力安全委員長
それは逆にないというか、今までの例えば、安全審査をやっていて、それには合格しているわけですよね。それで、今回、しかし安全審査でいろいろと、実は穴があるところが分かった。そこはふさいでいただいているというので、ぎりぎりなのかどうかは分からないけれども、安全性はとにかく向上の方向に行っているだろう、というふうに理解しています。ただ、説明性は不十分だったのではないか。これは前から申し上げているんですが、なかなか理解しにくいのではないか、というふうに考えていたところです。」

以後、細野大臣の要請について、記者からの厳しい質問が続く。記者から国民の一番関心事である個々の原発の総合評価を何故しないのかという質問が続くが、それは保安院の仕事であり安全委員会はやらないと逃げまくる。

米山氏がストレステストに期待するのは原発のハードは大丈夫だったが事故が起こった時の処理(ソフト)がまずかったのでそれを再度強化するためにテストが有効だとの認識だと推測する。
前にも書いたが、保安院は原発推進側であり、今度の事故でも東電と共同責任を負うべきだと思っている。そんな保安院に任せて原子力安全委員会の責任を全うすることが出来るのかと言いたい。
さて、福島原発の事故は「想定外の津波」により引き起こされたとなっているが、東電自身が地震でも損傷があったことを認めている。原発の耐震性は本当に大丈夫なのかという問題が気にかかる。
以下は、中日新聞、共同通信、ブルームバーク、毎日新聞のスクープである。少し長くなるが貼り付けておく。
『2号機は津波による電源喪失で原子炉の冷却機能が失われ、大量の蒸気が発生、3月14日午後10時50分ごろに格納容器内の圧力が異常上昇した。東電は蒸気を逃がすベント(排気)を2度行ったが、・・・圧力低下が確認できなかった。東電など複数の関係者によると、圧力容器内の蒸気は露出して高温になった燃料から発生した水素を含み、蒸気とともに配管を通って抑制室に入った。ベントができなかったことで、抑制室の内圧も高まり、地震により破損した溶接部などから水素が漏れた可能性がある。・・・漏れた水素が空気中の酸素と反応して水素爆発。衝撃で抑制室が壊れたとみられる。』(中日新聞)

東京電力福島第1原発1号機の原子炉建屋内で東日本大震災発生当日の3月11日夜、毎時300ミリシーベルト相当の高い放射線量が検出されていたことが14日、東電関係者への取材で分かった。高い線量は原子炉の燃料の放射性物質が大量に漏れていたためとみられる。1号機では、津波による電源喪失によって冷却ができなくなり、原子炉圧力容器から高濃度の放射性物質を含む蒸気が漏れたとされていたが、原子炉内の圧力が高まって配管などが破損したと仮定するには、あまりに短時間で建屋内に充満したことになる。東電関係者は「地震の揺れで圧力容器や配管に損傷があったかもしれない」と、津波より前に重要設備が被害を受けていた可能性を認めた。』(共同通信)

『東京電力福島第一原子力発電所では津波が来る前に放射能が漏れていた--。』
ブルームバーグ・ニュースはこの事実をどこから突き止めたか?5月16日に東電が公表した事故記録データを精査し、かつそこから得られた材料をもとに東電当局を取材したからだ。データからは、
『3月11日午後3時29分に1号機から約1.5キロ離れたモニタリング・ポストで高いレベルの放射線量を知らせる警報が鳴った。大津波が福島第一原発を襲ったのはその数分後』
ということがわかり、それを東電に確かめると、
『東電原子力設備管理部の小林照明課長は19日、ブルームバーグ・ニュースの取材に対し、「モニタリング・ポストが正常に作動していたかどうか、まだ調査している。津波が来る前に放射性物質が出ていた可能性も否定できない」と認めた。』(ブルームバーグ)

『福島第1原発3号機で、緊急停止した原子炉を冷やすのに必要な装置の配管が破損した可能性があることが、東電の解析で25日分かった。配管は津波の影響を受けにくい原子炉建屋内にあり、地震の揺れが原因の可能性が強い。』(毎日新聞)

計器が正常に作動していないとか計器が壊れていたなど重大な事実を発表するときに「免罪符」のように東電はこれまでもたびたび使ってきた。しかし、各種の放射性物質の存在は、原子炉内の状況を表し、専門家にはごまかしが効かない。
原子炉が全て「津波による外部電源停止」で現在の状況になったのではなく、地震による揺れでも壊れていたとなると国内の原発を全て止めて安全性を点検する必要がある。原因を「想定外の津波」にしておきたいのだろう。これも東電の発表によるが、変電所が地震により壊滅的なダメージを受けていたので外部電源復旧に相当な時間を要し、5号機、6号機に電力を供給する鉄塔も地震で倒れていたとのことである。
「津波」の予測数値は原子力土木委員会津波評価部会が決めた「土木学会指針」によるものである。指針では福島第一の津波の想定は5.4~5.7メートル。そこに14メートルの津波が来たから「未曾有の津波」という。「未曾有の災害」の場合、東電の賠償責任は免責されることになる。この原子力土木委員会津波評価部会の委員、幹事の構成を見てたまげた。
委員は25名、大学関係7名、電力事業者11名(東電他電力会社の人間)、国・独立行政法人6名(国交省、保安院、原子力関係)、公益法人1名(電力中央研究所)大学の先生も「原発反対論者」は選ばれないし、後は殆ど身内である。10名いる幹事も同じような構成。これでは第三者性など望むべくもない。津波評価部会のほかに活断層評価部会もある。
これで安全が充分担保されるというのは悪い冗談であるとしか言いようがない。
福島原発事故に関してはIAEAが報告書を出している。IAEAの報告書でも原因は、「津波」によるものとされた。このことは、IAEAという組織が果たす役割について考えれば当然の結論といえる。
IAEAの役割は①核兵器が現在の核保有国以外に広がらないように監視すること②核の平和利用=原子力発電を推進することである。
日本における原子力発電の動きを止めるような報告は絶対に出さない。IAEAが権威ある組織だから報告はニュートラルで正確であろうなどと思わないほうが良い。
そのIAEA内部でも天野事務局長に対し、傘下のヨーロッパメンバーから「外交官である天野氏は日本の影響下にあり、今回の事故において、正確な情報を上げていない」という批判があり、「天野外し」の動きがあると報道されている。何をかいわんやである。
以前、米山氏が刈羽原発は1G=980ガルの震度に耐えたから原発は地震で壊れないと言われていた。今回も2Gでも3Gでも耐えられるのではないかと言われているが、容器には様々な配管があり、それらが破断すれば冷却が出来なくなる。
ガルと震度の関係であるが、ガルが大きければ震度が大きいとは限らない。気象庁のホームページに行き、「気象統計情報」→「地震・津波」→「強震観測のページ」→「震度と加速度」を見ると、ガルと震度の相関図がある。
同じ震度6弱の地震の加速度が大船渡の地震は1,105ガル、十勝沖地震の十勝浦河は348ガルという例が示されていてガルと震度と地震波の周期の相関図が記されている。揺れの時間や地震波の周期で加速度が小さくても震度は大きくなりその逆もある。
今、1号機から3号機の中はどのようになっているのだろうか?メルトダウンからメルトスルーしたと発表されたので圧力容器を溶かし格納容器に達していると思われる。
メルトダウンする時の温度は2,800度にも達するようである。格納容器は鉄でできているので1,400度程度で溶けてしまう。格納容器をも溶かしてその下まで行っていれば冷やすことはできないし、更なる危機が訪れるかもしれない。

投稿: 同世代の暇人 | 2011年7月19日 (火) 16時49分

 同世代の暇人さんから、私が知らなかった色々な情報を頂きましたこと、厚く御礼申し上げます。 一読後、即答ではなく自分なりに納得する整理をしたいと考えましたので、ご回答までに3日間の猶予を頂いて、出来るだけ誠意をもってコメントすることにしました。遅れましたことをお詫びするとともに、まず言い訳をさせて頂きます。
 コメントの順ですが、最後に記されていました「今でも格納容器を落下するメルトダウンを心配」しているようですので、それを先に取扱ってから前に遡っていきます。宜しくお願いします。

1.現状で格納容器を落下するメルトダウンの可能性
 心配無いにも拘らず、新聞等で説明していない、ので困っていた問題です。
 「メルトダウンする時の温度は2,800度にも達するようである。格納容器は鉄でできているので1,400度程度で溶けてしまう。格納容器をも溶かしてその下まで行っていれば冷やすことはできないし、更なる危機が訪れるかもしれない。」と心配しています。確かに、机上ではその恐れがあるのですが、実際の現場を推察すると大丈夫と判断しています。その理由を説明します。大学教養程度の物理を利用しています。
① 格納容器の下部は600℃以下と思われる。
② 鉄は600℃程度で赤色に発色する。1000℃以上になると白色になる。
③ 建屋に入り格納容器を見ているので、赤化していれば即刻に報告されよう。
④ 1000℃以上になれば、夜間に建屋内部を煌々と照らす。誰でも分かる。夜間の工場で、溶接している光景を思い浮かべて欲しい。
⑤ 上記③、④が無ければ、格納容器内にメルト物体が納まっていることになる。
⑥ 上記⑤であれば、「注水による冷却効果あり」と評価すべきである。
⑦ それでも心配なら、放射温度計で格納容器下部を常時観測すれば済む。
 この問題提起は無用な社会不安を誘導します。大いに議論し速やかに結論を出すべきです。

2.圧力容器以外の部分での震動被害の可能性
 「米山氏が刈羽原発は1G=980ガルの震度に耐えたから原発は地震で壊れないと言われていた。今回も2Gでも3Gでも耐えられるのではないかと言われているが、容器には様々な配管があり、それらが破断すれば冷却が出来なくなる。」との主張でした。
 圧力容器本体が有する強固な耐震性をご理解頂いたようで、内心ホッとしています。
 圧力容器に接続される配管・機器の損傷は考えられます。特に、機械的接合部のシール性が損なわれるものです。ですから、主要配管部分は機械的接合を避けて、溶接接合するのが基本です。バルブも溶接接合型を選定すべきです。このように措置してあれば、よっぽどのヘマな材料選定と配管系にしない限り、破損は免れると考えています。一番の弱点は、圧力容器下部の制御棒移動装置です。どうしても可動部は機械的なシールとなるからです。(図面を見ていませんから一般論です。)

3.IAEA内部では天野事務局長への日本の影響を懸念
 私が始めて聞く情報です。
 日本人の帰属意識過剰という民族性が負の形で露呈されたという悲しい現実です。生活を支える「絆」の原点ともいえるのですが、「公人となったからには、公人としてムラから抜ける覚悟」があって欲しいものです。天野事務局長にはその覚悟が揺らいでいるのでしょう。今からでも、日本のクビキから抜けださせ、原子力平和利用の安全性確保・保証に専念させるべきです。
 将来を背負う若者達は、この教訓を背負って世界に飛び立ち役立って欲しいものです。

4.IAEAという組織の限界と専門家のモラル
 開発後の成果を誇った「水爆の父・エドワード・テラー」と、開発を悔いた「原爆の父・ロバート・オッペンハイマー」を思い浮かべます。
 確かに、帰属する組織に行動を狭められる懸念はありますが、それ以上に専門家のモラルに期待したいのです。日本と違って、「欧米では組織への帰属意識が薄い」可能性があります。今回も、素早くストレステストを勧告しています。
 我々は、専門家の限界を組織で見るのではなく、「個々の首実検で、帰属意識で嘘も平気な人間か、圧力に屈しないで専門家としての誇りを有するか」を様々な形で確認すべきではないでしょうか。

5.原子力土木委員会津波評価部会の構成
 このような批判が出るのは当然と思います。
 福島原発事故以来、この津波問題に対して、「原子力土木委員会津波評価部会」がどのように説明しているか、に興味あります。
 我々は「責任を問うのではなく。真摯な説明責任を問う」形で、構成員の首実験をすべきではないでしょうか。このような形での国民と専門家との真剣な討議から、日本に真の専門家を生み出せるように期待しています。国民に一人で説明する恐怖を予感させれば、技術官僚に右顧左眄する似非専門家が減ることは確かです。

6.重大な事実発表の「免罪符」に利用する機器破損説明
 私が、東電・保安院説明で常にイライラするのはこのことです。
 全容を見渡せば技術的に明確なのに「木を見て森を見ず」を逆手にとって、木だけを説明して逃げまくる姿は滑稽です。同時に、世界に報道されているので、我々日本の技術者が彼等と同じレベルと判断されるのでしょう。全く迷惑な話で、怒りに震えます。

7.津波以前に原発が破壊したという状況証拠
 最終的には「福島原発事故調査・検証委員会の報告」を待ちたいと考えます。しかし、静観していれば政官業の生残りを賭けて、虚偽の報告とする懸念も拭えません。そうさせないためにも、国民の中で色々な懸念材料を吟味しておくことで、知識水準・管理水準を高めておくことが重要です。その意味で、真剣に議論して行きたいので宜しくお願いします。福島原発事故の時間経過で議論していきます。

(1)3月11日午後3時29分、ブルームバーグ情報
 私は始めて聞いた情報です。
 「1.5km離れた1号機から約1.5キロ離れたモニタリング・ポストで高いレベルの放射線量を知らせる警報が鳴った。」ということで、津波前に原子炉破損をした証拠、と言いたいのは分かります。しかし、以下のように反論します。
 放射線は直進して濃度は距離に反比例します。ですから、実際に津波の前に一号炉から放射線が漏れていれば、1.5km内にある全てのモニタリング・ポストから警報が確実に鳴り響いているはずです。どうして、この情報が無いのでしょうか? 私は、一箇所の警報だけでなく、他のモニタリング・ポストの警報と合わせて結論を出すように要求します。私の結果予想では、津波前の原子炉破損説は棄却されるでしょう。
 東電担当者の取材に対する回答は笑い者です。「16日に資料を出していながら、19日に質問されて調査中」は相手を馬鹿にしています。東電の担当者等は提出した資料の中身も読んでいないのでしょう。科学技術者として恥ずかしい行為です。

(2)3月11日夜、300mシーベルト/時を計測、共同通信
 バッテリーによる補助電源が喪失した後に、一号炉の建屋で計測された、という記事があったと記憶します。大変に重要な記録です。「福島原発事故調査・検証委員会の報告」が、どのように分析するか、国民から鼎の軽重を問われると思います。
 バッテリーによる補助電源が喪失した後では、「原子炉内は急速に温度と圧力上昇があった」と推察できます。圧力上昇により配管の機械式接合部等のシール漏れが出た可能性も否定できません。
 いずれにしても、11日の地震発生から12日の水素爆発迄の実測データ、予測できた値、実施した指示、実施できた作業等を確認して総合的に評価することが最重要と考えています。これなくして自然災害に対する原発の耐性を議論できません。

(3)3月14日午後、2号機格納容器内の圧力上昇、中日新聞
 この記事の記憶はありますが、重要度が低い情報と考えています。
 津波前の損傷疑惑という議論対象から外れますので、コメントは無用でしょう。

(4)3月25日の解析結果、毎日新聞
 私の記憶には無い情報です。何が何やら見当がつかないのでコメントできません。
 大体、「解析結果」という権威付けをした情報に胡散臭さを感じてしまいます。何か他の重要な過失を隠蔽するのに良く使われる言葉です。気をつけましょう。

8.事故原因と対策
 「米山氏がストレステストに期待するのは原発のハードは大丈夫だったが事故が起こった時の処理(ソフト)がまずかったのでそれを再度強化するためにテストが有効だとの認識だと推測する。」とのことでした。
 私の考えはご推測通りです。機械は人間が操作して危機を回避します。原発の危機回避には現場を熟知する技術者・作業員の能力と使命感が頼りなのです。

 「そんな保安院に任せて原子力安全委員会の責任を全うすることが出来るのか」とのお怒りは尤もです。21日の朝日新聞の声に「耐性評価は外国に教えを請え」との題で「テスト自体は安全性を高める点で正しいことだが、『安全性』の見極めについては、国際原子力機関(IAEA)や欧州連合(EU)、米国の教えを請うたらどうか」との記事がありました。
 このような投書を好例として、あらゆる手段を使って保安院の怠慢を諌め、改心させなければ日本が世界中で笑われます。

9.記者ブリーフィングの斑目委員長回答
 「しかし、記者ブリーフィングでのやり取りを見て大いに失望した。」という斑目委員長への怒りを私も共有します。
 しかし、見方によっては「このような記者ブリーフィングがインターネットで公開される時代に驚嘆します。斑目委員長のように「ノラリクラリ戦法」は、新聞とTVといったマスコミ時代には有効であった官僚的手法でした。インターネット公開される今日では昔ほど効果的ではありません。久木田委員長代理や事務局の本間課長が説明すると分かり易くなります。斑目委員長の無能さを端的に示しています。
 このような会見の公開で国民が真の姿を知ることで、自然に斑目委員長を淘汰していくことになると期待しています。具体的にはこうです。
 ストレステストを国民が強く支持し、原子力安全委員会に結果を評価させて委員長に公開説明をさせていけば良いのです。それが妥当かどうかは国民が判断することになります。国民が説明に満足しない間は、「ノー」を突きつけます。国民に説明責任を果せない委員長は政官業の支援者からも見放されて、マトモな委員長に代わります。委員長の能力を疑っているのは、日本だけではありません。全世界が注目しています。斑目委員長に勝ち目はありません。期待をもって今後に注目しましょう。

投稿: 米山 | 2011年7月22日 (金) 21時02分

 同世代の暇人さんから7月19日にご質問があり、22日にコメントさせて頂いた「3月25日の解析結果、毎日新聞」に関する「修正見解」が7月29日の朝日新聞に掲載されました。「東電、地震での破損否定、(3号機配管再解析で『漏洩なし』)」というものです。その記事の一部を以下に引用します。

[  東電は今回、破断していない理由として、その後の聞き取り調査の結果、東日本大震災の2日後の3月13日に地下1階の高圧注水系のポンプ室に運転員が立ち入っていたことを挙げた。破断したなら、高圧の蒸気が漏れ出てポンプ室に立ち入れない状況になるはずという。
 また、運転員は高圧注水系が安定して運転し続けられるよう、流量を絞ってポンプから別ルートへ冷却水を流すように調整していた。この調整を考慮すると、圧力容器の圧力の変動がうまく説明できるとしている。  ]

 溶接継手は母材より強度が強く設計されています。ですから、溶接継手配管は簡単には壊れないし漏れない、を知っている私はこの修正見解は当然のことと受け取めます。 次に、東電が成長したことも認めたいものです。「解析結果を鵜呑みにするのでなく、周囲の状況を含めて判断した」ことを評価します。私が心配してきた「木を見て森を見ない」を脱却する基盤であるし、今後のストレステストの「総合評価」には絶対に欠かせない視野・姿勢だからです。

 しかし、それよりももっと重要な事実をこの記事が語っているのではないでしょうか。 「3号炉が不安定・運転不能になり水素爆発に至った原因は、そもそも3月13日に運転員が高圧注水系のポンプ流量を絞ったために、注水不足になったのではないか。」という重要な疑念です。
 「別ルートへ冷却水を流すように調整した」ということは、別ルートに繋がるバルブを開いたということです。どのようなバルブかは分かりませんが、一般にバルブは種類によって、色々の特性を有します。そのような知識も無い運転員が、バルブ前後の圧力や流量を目視確認できない状況で適当にバルブを操作したとなれば、容易に流し過ぎになります。そうなれば冷却止水が不足するのは当然です。これが本当なら、「キチガイ沙汰の指示・作業」と言わざるを得ません。
 徹底的に究明すべき重要な技術・指示・作業の疑惑である、と主張します。
 私の推察が当っているならば、まさに3号炉の事故は運転ミスによる人災です。

投稿: 米山 | 2011年8月 3日 (水) 07時53分

欧州と日本のストレステストの違いについて書こうと思っていたが、パソコンの調子が思わしくなく、作業が出来ないでいた間に保安院、佐賀県知事、電力会社が住民向けの説明会でやらせの世論誘導を仕掛けていたことが次々と明らかになった。
電力会社が原発神話を維持するために政・管・業だけでなくメディアや御用学者まで抱きこむ戦略(広告費、研究費、政治献金、は我々の電気料金に含まれている)を展開してきたことはもはや周知の事実である。そこに、国=保安院や首長も加わっていたことになる。
本来、原発の安全性を厳しくチェックすべき保安院が電力会社とグルになっていた。これが日本の電力行政の実態である。
「保安院」の存在は、再三言ってきたように、「規制=ブレーキ」ではなく「推進=アクセル」だということがより明確になった。(推進側のエネ庁と保安院との人事交流がよくあるということからしておかしい)
あのIAEAでさえ、以前から、保安院を分離すべきと勧告をしている。
玄海原発に関しては、岸本町長の実弟が経営する岸本組が原発マネーによる町の公共事業と九州電力からの原発関連工事を独占受注していることや九州電力より佐賀県知事に組織的、継続的な献金がなされ、この三者はべたべたの関係であったことも露呈した。
(知事の父親は、元九州電力の社員、選挙も九電が全面支援、身内同然の関係)
電力会社の地元説明会で電力会社と保安院が行ったことは、小泉政権の時によく開催された「タウンミーティング」の手法そのものである。
「タウンミーティング」ではやらせ質問や主催者にとって都合の悪い人間を排除したり役所の人間をもぐりこませる等さまざまなことが行われた。
予め決まった結論に持っていくために、やらせ質問、地元民に身内を紛れ込ませる、学問的な権威を付加するために御用学者を出席させる方式である。
さて、これからやろうとしているストレステストであるが、安全委員会の見解によると、どの原発の設計も建設時に安全基準に上積みされた余裕分がある。 福島第一原発の事故を受けた緊急安全対策でも増えたとされる。 ストレステストでは余裕分がどれくらいあるかを見る。 基準を超えた重大事故や自然災害にどれだけ耐えられるか評価する。
経産省原子力安全・保安院は、テストはあくまでこの余裕分を調べて信頼性を高める追加的な評価と位置づける。安全基準を満たしていれば運転可能だという立場は崩していない。
事故後に国が各電力会社に指示した津波に備えた緊急安全対策や、追加で指示した過酷事故の対策は、想定外の事態を想定した対策だった。この緊急安全対策が余裕分のかさ上げにつながっているという。
ただし、定期検査のように、機器を点検するものではない。評価項目を決めてコンピューター解析し、弱みや安全余裕が無くなる限界を調べるものである。弱点があっても電力会社に改善させる強制力はない。
ストレステストで出来ることはコンピューターのシミュレーションになるだろう。シミュレーションなどというものは想定内のことでもインプットしないことも出来るし、想定外のことは想定外になってしまうのだから殆ど意味がない。結局、今までの流れから考えると保安院、安全委員会のやりたいようにやって「安全でした」という結論を出すのだろうと思っている。
電力会社が申告し、保安院がチェックし、最終チェックは原子力安全委員会が行う。
あの手この手を使って安全性を証明したいようだが、全て「身内」が行うものにどれだけの信頼性があるのだろうか。
公共広告機構のコマーシャルではないが「心は見えないけれど、下心は見える」ということだ。
ヨーロッパのストレステストは日本のやり方とはかなり違う。以下に引用する。
EUは「福島事故で、考えられない事態が起こること、2つの自然災害が同時に起こること、全電源の喪失が起こることを学んだ」としている。
テストは包括的なもので、以下の事態に耐えうるかどうかを調べる。
①天災
 地震、洪水、極端な低温、極端な高温、雪、氷、嵐、竜巻、豪雨、その他
②人の起こす危険(失敗、行為)
 飛行機墜落、原発近辺での爆発(ガスコンテナー、近くでのタンカー爆発)、火災。
 テロ攻撃(飛行機での突っ込み、爆弾)
地震に関しては、操業前に、過去の地震を参考にし、その地域で予想される地震に耐えられるかどうかについてはチェックを受けている。しかし、福島の例で、過去にその地で起こったよりも強い地震がありうることが分かった。
想定されている以上の地震にも耐えられるかどうか、即ち、すべての安全機能が稼働するか、安全に停止できるか、電力の供給は十分か、放射性物質が放出されずに閉じ込められるかどうかをチェックする。
洪水や、他の天災についても同様。
電源に関しては、どんな事態でも、電源がカットされた場合に十分なバックアップ電源を持つこととしている。数日間電源がカットされても大丈夫か、最初のバックアップのバッテリーが動かない場合にどうするかなどにも答える必要がある。
飛行機墜落(災害、テロとも)については、原発の格納容器が厳しいダメージを受けるかどうかをチェックする。
そのため、材質、壁の厚さ、接近する飛行機の重量、スピードなどを検討する。
ドイツは最近の専門家による安全検査の結果、南部にあるビブリス原発など4基が、飛行機の墜落に構造的に耐えられないと判定されている。
爆発、火災についても同様。
このほか、テロ攻撃に対する予防措置が検討されるが、これは各国のセキュリティに関するもので、公表できないという理由で(ストレステストは全て公表される)、「専門家委員会」を別途設置して調査する。
テスト方法については欧州委員会とEuropean Nuclear Safety Regulators' Group (ENSREG) とで協議して決めた。
ストレステストは3段階で行われる。
①Pre-assessment
  原発の操業責任者がストレステストの質問に答え、証明する資料や研究、計画を提出する。
②National Report
  各国の規制当局により上記回答が正しいかどうかチェックする。
③Peer reviews
   多国籍チームが②をレビューする。
   このチームは欧州委員会の1人と27か国の規制当局から6人の合計7人から成る。現地訪問も行う。
ストレステストは2012年4月末までに完了する。
ストレステストの結果を受け、各国はどうするかを決定する。
その国の責任ではあるが、EUとしては、対応が技術的にあるいは経済的にできない場合、停止されると信じるとしている。
報告は公表されるため、停止しない場合にはその国は国民に理由を説明する必要がある。

日本の場合と決定的に違うのは、原発が現状でも充分安全だという認識に立っていない点、テストの中味がコンピューターのシミュレーションだけではない点、三次チェックを多国籍チームが行う点、不具合があった場合は、停止か廃炉になる点である。二次チェックも日本のように実質推進側(保安院)が行うものではない。
これならば、中立性や信頼性がある程度担保されている。
上述したように、日本とEUのストレステストではテスト内容や信頼性や中立性が全く異なることが歴然としている。
米山氏は原子力安全委員会の斑目委員長がだめなら(今でも斑目ではなく「でたらめ」と言われているが)国民の力でやめさせればいいと言われた。果たして、判断できる材料は提供されているのだろうか?
最近、中国の高速鉄道事故で中国政府は言論統制をしているとメディアはかまびすしいが、我々はどうだろうかと思うことがある。中国の人達はテレビや新聞に接する時、政府は「言論統制をしている」ことをちゃんと認識している。我々の国には言論統制などある筈がないと思っている人が多い。
「電力会社は御用学者やメディアも抱きこむ戦略を展開してきた」と書いたが、電力会社は、単独もしくは電気事業連合会を通じて莫大な広告費や研究費をばら撒いてきた。
メディアは鼻薬をかがされ中立性を放棄した結果、原発を批判してきた学者や文化人はテレビや新聞から徹底的に排除されてきた。結果として、原発に都合の悪いことは一切メディアには登場しなくなった。
クリーン、安価、安全な原子力という言説が震災以前までは声高に叫ばれていた。これもある種の言論統制の結果である。
原発事故当初は、御用学者である東大の関村教授、諸葛教授、東工大の澤田教授、枝野官房長官などが毎日登場し、「冷やされているから大丈夫」「原子炉は幾重にも防御されているので最悪の事態にはならない」「ただちに健康には影響はない」と連日のように発言していた。
これが全て嘘となった今、震災直後、大量の放射線が降り注ぐ中、子供連れで給水車に順番待ちしていた飯館村の母親にどのように釈明をするのか聞いてみたい。
東電はIAEAへの報告書でメルトダウンが11日の時点で起こっていたことを報告している。(彼らはその時点で判っていた)3月、4月、5月に東電、保安院、枝野官房長官は「メルトダウンはしていない」と再三発言していたが、その嘘について追求している既存メディアはない。
飯田哲也氏、田中三彦氏、後藤政志氏、小出裕章氏等の反原発の立場の人達がテレビに登場するのはつい最近のことである。広告費が支出されなくなったから金の切れ目が縁の切れ目ということかもしれないが、今までの報道に対する自己批判をするのが筋というものである。
国民にしっかりと判断させるには、原発に限らず、両方の立場の人を対等に登場させるべきである。
我々が日常接しているメディアも都合よく統制されている。新聞やテレビで「関係者によると」とか「町の声」などにそれが良く出ている。「捜査関係者によると」と前置きしてアナウンサーが発言するが、あれは全て検察や警察からのリーク情報である。検察は、リーク情報で巧みに世論操作や世論誘導をしてきた。東京地検特捜部が強制捜査に入る時、決まってビルの角を回ってコートを翻し、当該ビルに入っていく映像を見た記憶があると思うが、特捜部から「何時何分にビルに入るから」(格好良く写せよ)と事前にリークされているからである。
「町の声」もリアルタイムではなく都合よく編集してある。特に、テレビは「世論を作っていく」とうぬぼれているから始末が悪い。
原発のメルトスルーについてであるが、米山氏は、鉄が溶けていれば光でわかると解説してくれたがそのとおりだと思う。しかし、1号機は3月11日の19時頃にはメルトダウンが始まっていた。2号機、3号機も12日から14日の間にメルトダウンしていた。
その時建屋に入れば即死するぐらいの高い放射線量であった。とても目視で確認できる状況ではなかったと思う。
小生は、格納容器をもメルトスルーしていると考えている。格納容器を水で満たす「水棺」
を諦めているし、注いでいる水が殆ど汚染水として出てきていることなどからそうではないかと疑っている。東電は格納容器の水位を発表していないし、主要なデーターを隠したままである。各種データが発表されれば圧力容器、格納容器内で起こったこともほぼ正確に推測できる。
これが、彼らにとって都合の悪いことになるのである。発表したことと辻褄が合わなくなるからである。
米山氏が東電の修正発表を教えてくれたが、今までの経緯を考えると、小生は東電の発表を信ずることは出来ない。
また、圧力容器や格納容器は堅牢でなくてはいけないが、これらには色々なパイプラインが接続されている。米山氏はご自身の経験からパイプラインは大丈夫と言われるが、今までの原発事故はこのパイプラインの不具合により惹起されたものも多い。
冷却機能が失われればジルコニウムが溶け出し、3時間ほどでメルトダウンし、水素爆発や水蒸気爆発を起こす危険性は大きい。
今度の事故でも、1号機から3号機までの圧力容器と格納容器は既に壊れている。鉄の融点とウランの崩壊熱では比較にならない。壊れるのは必然である。圧力容器、格納容器は、単体ではなく、パイプラインも含めての容器である。
閑話休題
東大の中川恵一教授は、放射線医学の権威であるが、東電から潤沢な研究費をもらい発言も東電よりで御用学者といわれている。東大には真っ当な教授がいないと思っていたら、一人いた。
その人の名は、内閣府アイソトープセンター長児玉龍彦教授。
下のリンクは、衆議院厚生労働委員会での児玉教授の発言である。
YU-Tubeです。一見の価値があります。メディアは取り上げていない。
http://www.youtube.com/watch?v=K5e48MiBqwg&feature=related

投稿: 同世代の暇人 | 2011年8月 3日 (水) 19時42分

 3日付の同世代の暇人さんコメント、特にストレステストに関する詳細な情報提供に対して厚く御礼申し上げます。

1.ストレステストと保安院問題
(1)出典を教えてください
 「①Pre-assessment  原発の操業責任者がストレステストの質問に答え、証明する資料や研究、計画を提出する。」という記述が重要であり、目新しく感じました。というより、私が「知りたかったし、期待していた情報」そのものです。つまり、EUでは、「操作責任者が質問の答える」のです。例えば福島原発なら、「吉田所長が回答する」ことになるのです。これなら私も納得できます。
 ところが、日本版では異なります。「回答者は現場も知らない机上の空論しかできない技術スタッフ」なのです。「コンピュータシュミレーションの経験も無いでしょうから、アウトソーシングつまり、メーカに丸投げ」になります。EUの担当者が聞いたら笑ってしまう醜態と憂慮しています。
 以上により、「原発運転という現場を重要視する」私にとって大変重要な情報です。「①Pre-assessment」情報の出典を、是非教えてください。
 
(2)政官業とマスコミ談合の醜態
 私も、同世代の暇人さんの怒りを共有しています。
 おそらく、日本国民全体に広く行き渡った、共通の怒りです。
 「政官業とマスコミ結託の連中は今、震え上がっていると思いますが、甘いか?

(3)斑目委員長の更迭
 「8月1日のたけしのTVタックル」で、「諮問委員会の会議の資料準備から会の運営全てを『官房の庶務と言う名の業務』で実施されている」と紹介されました。ですからストレステストの説明で、委員長が「運転再開を拒否できない」と言うのは、経済産業省官房の意向により逆らえない立場・伝統に原因があるのでしょう。
 従って、操り人形の斑目委員長よりも先に、経済産業省のトップと官房を総入れ替えるのが急務であり、得策と考えます。人心が一新されれば、操り人形は不要になり捨てられるのが普通です。(そうしないと新布陣が国民から疑われるからです。)
 しかし、私に人事権があるでもなし(笑)、期待をもって今後を見守ります。

(4)日本のストレステストで出来ること
 「ストレステストで出来ることはコンピューターのシミュレーションになるだろう。」との暇人さんのコメントには同意できません。これは日本独自の保安院の主張です。
 現に、暇人さんがご紹介してくれたEUのストレステストでは、操作責任者が回答する、ということではありませんか。シミュレーションで代替できません。
 (私の疑問は、暇人さんの文脈で「保安院の主張と暇人さんの主張」を区分できないためかもしれません。その場合再度、「保安院の主張と暇人さんの主張を区分して記述」して頂けると幸いです。)

(5)EUのストレステスト工程
 http://www.jepic.or.jp/news/pdf/2011.0509-01-3.pdf
 私のニュースソースは、上記ホームページです。以下はその一部引用です。
 [ 6月からストレステストを開始する。WENREGでは、ストレステストは原子炉の許認可保有者によって、9月15日までに行われ、その後規制機関が2ヶ月で審査し結果を報告する。ENSREGと欧州委員会は報告書を報告書を作成し、12月9日に予定されている欧州理事会に提出する。  ]
 暇人さんのコメントでは「ストレステストは2012年4月末までに完了する。」となっています。合わせて見ると、工程が明確になります。限られた個々の情報を持ち寄り議論することが有効である、証と満足しています。
 日本でのストレステスト結果が、EUに比して遅れたり内容が十分でないと、世界から糾弾されるでしょう。東電、保安院、安全委員会といった当事者が、我が身の保身に囚われて、原子力ムラの論理を優先したために、日本が世界のモノ笑いになると心配しています。

2.放射能汚染の責任
(1)飯館村
 「これが全て嘘となった今、震災直後、大量の放射線が降り注ぐ中、子供連れで給水車に順番待ちしていた飯館村の母親にどのように釈明をするのか聞いてみたい。」 暇人さんと同様に私も聞いてみたい気持はあります。しかし、言い訳を聞いて何になる、という気持も同時に芽生えます。
 朝日新聞8月4日の「社説余滴『放射能に負けないムラの作法』(浜田陽太郎)」が気になります。一部を引用します。
[ 佐藤(健太、29歳)さんは村長と何度も面談している。そこで、余裕がない役場にかわって『集い』を開くこと、『健康手帳』のアイディアと情報を提供することに合意した。  考え方は違っていても、危機に際しては協力する。そして、ものごとを前に進める。  ごく当たり前のことなのに、対立し、足の引っ張り合いばかりしている政治にうんざりした目には、新鮮に映った。  ]
 我々も若い佐藤さんと同様に「明日に向けたアイディアと情報を提供」する努力をしたい、と願っています。言い訳を聞くのは福島原発の総括報告まで待つつもりです。

(2)メルトダウン情報
 「東電はIAEAへの報告書でメルトダウンが11日の時点で起こっていたことを報告している。(彼らはその時点で判っていた)3月、4月、5月に東電、保安院、枝野官房長官は「メルトダウンはしていない」と再三発言していたが、その嘘について追求している既存メディアはない。」
 大変に興味があります。「東電はIAEAへの報告書でメルトダウンが11日の時点で起こっていたことを報告している。」とのことですが、東電がいつIAEAに報告したのでしょうか? 「後智恵情報」の場合には、発信日時が重要になります。
 インターネットで検索しますと、一段上の「メルトスルー」議論も盛んのようです。色々な情報が錯綜しているようで不気味で不安です。

(3)情報提供の義務
 「国民にしっかりと判断させるには、原発に限らず、両方の立場の人を対等に登場させるべきである。」全く同意です。そして、議論の公開、および論拠となるデータの持参と公開も義務付けるべきでしょう。徹夜で丸一日公開議論させれば、集約するものです。(ただし、官房の恣意・シナリオどおりにはなりません。)

3.原子炉の状態評価について

(1)東電・保安院情報の信頼性と情報の有効利用
 「小生は東電の発表を信ずることは出来ない。」という暇人さんの気持は十分に理解しているつもりです。しかし、私は信じるかどうかに関心はなく、「発表に論理的な妥当性があるか否か」に注目しています。
 ある意味では、尋問室の被疑者取調べで、横で黙って座る刑事に似ています。
 聞いていれば「嘘の中に真実を発見できる可能性がある」からです。相手が、黙秘(非公開)すれば、どうにもなりません。喋らせることが重要で、後は聞き手の力量と思っています。
 私の意見に耳障りも多いとは思いますが、このような視点です。ご容赦ください。
 なお、原発反対派からの意見についても、同様の疑いをもって、臨んでいくつもりです。

(2)光で温度が分かるなら早期にメルトダウンが分かったはず
 確かに建屋は水素爆発で開放状態になりましたが、圧力容器の下部がメルトダウンして高温になり発光したとしても、格納容器が遮蔽しているので、建屋内に人が入っても、分かりません。つまり、格納容器から光が漏れなかったのです。
 当初は、格納容器の存在も明確に報道されていなかったと記憶しています。それで、私は圧力容器の下部が高温で発光していれば、夜間に建屋内が明るくなるので、分かるハズと推測していました。

(3)1号炉の格納容器が水棺できなかったのは何故か?
 水棺作業の前段として、「窒素封入が実施」されました。その段階で、格納容器の密封が確認されていました。それなのに、何故大量の水漏れが発生したのか、理解に苦しみます。
 今、思いついたのですが、都市ガスの気密テストの判定では、封入したガスの温度上昇により、圧力が上昇します。ですから、窒素ガスが漏れている分だけ、温度が上昇すれば、圧力に変化が無く漏れが無いように見えます。格納容器内には高温の圧力容器があるわけですから、窒素の温度上昇は当然に予想されます。

(4)格納容器もメルトスルーしている疑い
 建屋と格納容器の間で、光を遮断する構造物が格納容器を包んでいない限りは、格納容器をメルトスルーした高温物体があれば、夜間に建屋内が明るくなります。
 そのような報告がありませんので、格納容器をメルトスルーしているとは、物理学的に考えられません。また、夜間に建屋が明るくなるのを防ぐのも難しいと考えています。
 なお、「注いでいる水が殆ど汚染水として出てきていることなどからそう(メルトスルー)ではないかと疑っている。」とのことですが、圧力容器の底にメルトダウン物体が存在し、上部から冷却水を流しているので、圧力容器の下部及び格納容器の下部に欠陥があれば、ご懸念の現象が発生します。従って、メルトスルーの証にはならない、と考えています。

(5)格納容器の水位
 「圧力容器の下部以上には水位が上昇しなかった」という報告があったように記憶の隅にありますが、自信がありません。いすれにしても、メルトスルーとの関係を予想させるものではありません。

(6)修正発表について
 確かに、修正発表は「地震によって破損した」という東電・保安院に都合の良い情報として記事になっています。ですから、暇人さんが疑いの目で見るのは止むを得ない面があります。
 しかし、私が主張するのは「3号炉は高圧注水系が働いて、冷却機能が確保されていたにも拘らず、運転員が(欲張った指示により)流量操作をしたために、注水不足になった。そして、メルトダウンの引き金になった。」という致命的な人為ミスを、彼等の言い訳で公開していると考えるからです。
 上記(1)のように、東電・保安院の報告を真剣に検討すれば、より多くの欠陥情報が得られる好例と思っています。

(7)原発の事故で付属設備により誘発された例が多い
 「今までの原発事故はこのパイプラインの不具合により惹起されたものも多い。」とのことですが、確かに主設備でなく付随する配管バルブ類で事故を起す傾向はあります。二つの側面をご説明します。
 一つは、「主要施設のみ傾注して付属設備全体を重要でないと軽視する」という設計者がかなり存在するという経験は確かにあります。付属設備が壊れたら全体システムにどのように影響するかを常に配慮すべきです。この視点から設計者とその管理者の弛まぬ研鑽と技術ノーハウの共有を求めたいものです。
 一つは、パイプラインにバルブ等の付属設備があります。その部分がネックになる可能性が高いので、溶接と同じように、パイプの曲げ強度以上の強度を有する付属設備としなければなりません。私が設計した例では、このような思想をベースに設計してきました。とはいっても45年も前のこと米国専門家から教わったのです。

4.内閣府アイソトープセンター長児玉龍彦教授
 貴重な情報のご紹介をありがとうございました。
 このように色々な情報を交換することにより、我々国民が賢くなっていくことが重要と思っています。
 なお、医療でアイソトープを有用に利用している組織の長であれば、当然に放射線の有効利用のご説明があって当然であります。それが無いのは、「厚生労働省や文部科学省の官房の指示に従っているのかな?」とも疑ってしまいます。
 「ヤラセ」のもたらす罪の深さを感じます。私を疑心暗鬼にさせますから。

投稿: 米山 | 2011年8月 6日 (土) 12時11分

米山氏の質問に対し、いくつかコメントします。
EUのストレステストついて
「化学業界の話題」(http://blog.knak.jp/2011/07/eu-11.html)というところに出ている。
他のところを捜した結果、原文もPDFファイルがあった。翻訳したものがないので貧弱な英語力でざらっと見てみた。「化学業界の話題」はそれを翻訳してくれたようである。「Pre-assesment」について、第3段階のチェック方法とスケジュールだけは確認した。
第一段階の原発操業責任者とは現場の所長ではないと思う。電力会社の責任者と考えるのが自然である。「操作責任者」はなく「操業責任者」と書いてある。
しかし、貴兄と小生では着眼点がまるで違うことに驚かされた。それはハードに問題があったのかハードを運転する人を含めたソフトに問題があったのかに起因していると思う。
即ち、小生はテストの信頼性、中立性に最も重点を置く。「現場の責任者」に聴くことは大事なことであるが、二次検査以降の処理体制をそれ以上に重視するからである。
第一段階の検査についての記述を確かめるため、再度、EUのストレステストのPDFファイルを捜したが、どうしても見つからない。他の翻訳記事を見てみたが、「化学業界の話題」と変わらないので間違っていないと思う。しかし、新たにわかったこともある。EUストレステストの第一段階では原発を止めないでテストするということである。そうなると機器などについてはコンピューターのシミュレーションにならざるを得ないのではないかと考えている。

「建屋内での高濃度放射線の問題」について
以前のコメントに、全ては「福島原子力発電事故調査・検証委員会」の分析・報告を待ちたいというコメントがあった。
小生は、調査・検証委員会はこの種の問題については分析しないと考えている。何故ならば、
委員の中に原子力の専門家は一人もいない。委員会が検証するのは、原発の設計を含む技術問題というよりその周辺の問題を検証することを主眼としていると考えるからである。
① 事故に対して政府・行政がどのように対処したのか②原発事故を何故起こしてしまったのか-心理的、組織的な問題などを検証するもので技術的なことは保安院にまかせるというスタンスである。これでは原発のハードの脆弱性を問題視している小生にとって真実が明らかになるか否か疑問を持たざるを得ない。
委員会設立当初、委員長が「当委員会の設置は、事故の責任を追及することを目的とするものではない」と宣言したことも大いに不満である。

政官業とマスコミ談合の問題
日本国民全体に広く行き渡った、共通の怒りになっていますか?以前にも書いたが、震災以降、飲料や食料の放射線の規制値が20倍から30倍になった。福島では子供の制限値が20ミリシーベルトになり、問題になった。牛肉の問題が出てきたが、セシウムは「稲わら」を選んで降るわけではないのに汚染の対象に「人」が含まれる議論に発展しない。牛肉の問題に矮小化されている。

斑目委員長の件
保安院が出来る過程で両者の棲み分けがあり、安全委員会はかなり引いたと思う。「自分たちも最終責任を負う」との意識のかけらでもあればもう少し違った展開になっただろう。
今では、名誉職のような意識で振舞っているが、手当てだけはかなりのものである。
安全委員会の存在が「安全に注意を払うためにこういう組織も設置している」という眼くらましになっているだけである。

日本のストレステスト
安全委員長が、原発については安全基準をクリアーしているのでテストの結果がどうあれ停止はあり得ないと明言している。震災以降追加の緊急措置も施したので(更に安全が増した)それでも余裕度を測るためにテストをすると言っている。機器の点検は、しないとなるとシミュレーションしかないと小生には思われる。
EUの第一段階検査も原発を止めないでやるということなので書類審査やコンピューターシミュレーションにならざるを得ない。日本もEUのストレステストを参考にすると言っているのだからそうなると思う。そもそも、経産省はテストはやらずに玄海原発を始動させ、なし崩し的に原発を再稼動させる方針であった。
小生は、一旦原発を全て止め、改めて耐震性、耐津波、断層の有無、配管の問題、過去の事故の洗い出し、その他のリスク、シビアアクシデントに対する備え、組織、人員配置、リスクマネジメントあらゆる点において一から点検をすることが必要だと考えている。
今、原発は17基しか動いていないし、点検の間、火力、水力を少し余分に稼動させれば電気は充分まかなえる。火力発電は二酸化炭素が増え、環境を悪化させるということを言う人がいるが、原発の環境破壊よりはるかに軽いものである。(日本において、エネルギーに占める電力の割合は25%程度だといわれている。後の75%は化石燃料を直接燃やしている。CO2の問題をいうならばこの75%を低下させる施策を考えることが先決である。)

子供の放射能汚染
放射性ヨウ素が高濃度のところに子供を置いておくほど危険なことない。放射能の影響は20年~30年経って出てくるので親はその間ずっと不安と悔悟の念に苛まれると思う。
あのソ連でも汚染のひどい地域(上限は年間5ミリシーベルト)の人達は強制的に移動させている。飯館村などホットスポットの地域はチェルノブイリの立入禁止区域や管理地域と同等かそれ以上の放射線量のところもある。嘘をついて人々を危険にさらしたのなら釈明させ、責任を追及すべきと思う。

IAEAへの報告
6月10日前後だと記憶しているが、IAEAへの報告書が出された。「東京電力 IAEA報告」
で調べれば出てくる。その中のⅣ「福島原子力発電所等の事故の発生と進展」にメルトダウンの記述がある。
1号機・・・・Ⅳ39ページ  2号機・・・・Ⅳ53ページ  3号機・・・・Ⅳ65ページに記されている。
事故の様子が時系列で記されているが、6月に初めて解ったということではない。
東京電力より「福島第一原子力発電所一号機の炉心状態について」という書類が5月15日に出されている。そこにも1号機の炉心溶融の時期が示されている。
全電源喪失からの放射性物質、放射線量測定値、水素爆発、圧力容器の圧力、格納容器の圧力、
各容器の水位、温度等から考えれば、早い時期にメルトダウンするのは当然の帰結だと思う。
3月14日の夜、東電が吉田所長以下を現場から避難させ、後を自衛隊と米軍に任せたいという打診を首相官邸に出した。管首相が「そんなことは絶対許さない」と言ったという話は有名である。
その時期は、1号機~3号機の水素爆発(3号機の爆発は水素爆発ではないかもしれないとの説あり)がおこり、次々とメルトダウンが進行している時期と一致する。

格納容器について
東電は、格納容器も損傷していることを認めていることを読んだ記憶がある。IAEAの報告書を再度読んでみるつもりである。
武田邦彦氏は両方ともスルーしていると岩上安身氏との対談で言っている。
(USTREAM 6月30日対談  格納容器については56分頃に言及 武田氏は今後の原発の危険については楽観的)
溶融した物が格納容器を壊して下に進んでいるか否かについて、時間が解決してくれるかもしれない。
事故調査委員会の報告には前述した理由で期待はしていない。

修正発表について
東電は、発表した数値を後日たびたび修正している。
小出教授他の指摘:1号機に海水を入れた後、3月25日にクロル38という物質を検出したと東電が発表。クロル38は塩素が中性子を受けて生成される物質で半減期が37分と短いものである。それが3月末になっても生成している。従って、1号機の中で原子炉が止まっていても中性子が継続的に生成されていることになるので核分裂反応=再臨界が起こっているのではないかと疑った専門家は多い。
ところが、4月20日になって東電は「クロル38の検出は間違い」と発表した。
クロル38はガンマ線を出し、検出も「ゲルマニウム半導体検出器」で測定するので間違えるとは考えにくいと。
今までの経緯から、小生も東電、保安院の発表は信じていない。

児玉龍彦教授について
多量の放射性物質が日本中を汚染している現状を憂い、自らも福島に出掛け除染活動をしながらも国として緊急にやるべきことを国会の場で訴えている児玉教授の熱意は充分理解できる。
除染のための方策を訴えにきているのに「放射線の有効利用の説明があって当然」とはどのようなことか理解できない。
画像をよく見ると解るが、後半になるとチラチラと上目遣いで時計(持ち時間を気にしている)を見ながら持ち時間をフルに活用してわかり易く説明している。原発20個分の放射能が出ているのに政府が無為無策であることに対し慢心の怒りを持って糾弾し、①食品、土壌、水の放射能汚染を抜本的に改善する仕組み、センターを作れ②子供の被爆を減少させる法律を作れ③国策として土壌汚染を解決するようにしろとの提言をしている。
文科省や厚労省の役人の思惑が入り込む余地はない。

投稿: 同世代の暇人 | 2011年8月 7日 (日) 18時40分

 同世代の暇人さんから、速やかかつ精緻なコメントを頂いたこと、厚く御礼申し上げます。

1.EUのストレステストについて
(1)化学業界の話題
 化学業界で議論されていることを知りませんでした。貴重な情報をありがとうございました。
 手元資料では「(EUの)ストレステストとは、プラントの安全機能を損なうような極端な自然現象を考慮した原子力発電所の安全余裕の再評価と定義する」とありました。ここの「プラント」という言葉が心に残っています。というのは、原子力発電所も石油工場と同じプラントに属します。ところが、保安院等の専門家の様子から「彼等は原子力圧力容器の知識に特化して、圧力容器を取り囲む周辺プラント技術に関して無知である」という疑問が沸いたからです。日本独自で科学技術を細分化することの弊害を感じました。さすがにEUでは、細分化せずに原子力発電所をプラントの1例として網羅的に対応策を講じるであろうと期待しています。
 そのような事情で、化学業界の議論情報は私には吉報です。ありがとうございました。

(2)着眼点の相違
 他人のモノの考え方を知ることは重要と思います。そのための手段が議論ではないでしょうか。
 私は「操作責任者も操業責任者」どちらでも良いと思います。最初に回答するのは必ず「操作責任者」と考えているからです。これは将来、回答書の原文を見れば直ぐに分かることです。

(3)機器などのシミュレーション
 私はガスパイプラインというプラント設計を経験していますが「機器などについてはコンピュータのシミュレーションにならざるを得ない」という具体的な技術イメージが沸きません。具体的な内容をご教授ください。

2.公開待ち等
 別に、私は東電・保安院を擁護するつもりではありません。
 問題点は問題点として、皆が注意深く推移を見守り、情報発信していくべきと思います。
 なお、「子供の放射能汚染」の退避命令遅れですが、「SPEEDI」のことを指しているのでしょうか? 私は「SPEEDI」解析結果は、姉葉並のヤラセ情報と推察しています。第三者機関で「プログラムロジック、入力データ、計算日等」を捜査すべきと考えています。

3.IAEAへの報告
(1)炉心溶融の発信時期
 暇人さんの情報を整理すると、炉心溶融情報は5月15日が最初と思われます。 現場情報を踏まえた、もっと早い炉心溶融情報がありましたら、知りたいのです。 なお、退避終了以前における「炉心溶融情報」がありましたら、非常に有用です。
 このように私が慎重なのは、「後知恵で過去の行動を非難すべきでない。」からです。つまり後だしジャンケンはフェアでないから」です。後知恵は、将来の糧として生かすべき」と考えています。この場合、ストレステストの際に生かす貴重な情報という位置づけになります。

(2)東電職員の撤退要請
 「後を自衛隊と米軍に任せたいという打診を首相官邸に出した。」との記憶はありませんでした。本当に東電は現場責任機関として恥ずかしい発言と思います。
 先の大戦で陸軍が「中国から民間人を置き去りにして、軍人だけ親族を引連れて日本に逃れた」行動とダブリます。典型的な無責任な官僚体質です。
 私の推察では「東電・保安院の科学技術者は再臨界と炉心溶融を区分して理解していなかったので、再臨界に至るとパニックを起こした。しかし、実際には原子炉はウラン濃縮度や燃料棒の配置から、再臨界に至る可能性が低く設計されていた。それで再臨界には至らなかった。ところが、重要なその知識も把握せずに再臨界を予想してパニックを起こした。」というものです。

4.クロル38検出について
 「原子炉が止まっていても中性子が継続的に生成されている」ことは不思議ではありません。原子炉が止まっていても、ウラン235から間断なく中性子が発生しています。ですから、近くに海水の塩素37があれば中性子を吸収してクロル38が今でも発生しているはずです。量は分かりませんが・・・。小出教授は専門家ですか? と質問したい気持ちです。それとも私の推論が間違っているのでしょうか?
 私はシンチレーション・カウンターを聞いたことはありますが、「ゲルマニウム半導体検出器」を始めて知りました。新情報をありがとうございました。なお、ゲルマニウム半導体は高感度ですが、測定には細心の環境整備と注意が必要のようです。インターネットで知りました。
 東電の無様な公表実績を考慮すれば、東電が外注した依頼先がズサンな測定をしたとしても、私は驚きません。依頼元として何も分からずに発注しているのでしょう。それで、正確な結果が出るわけがありません。

投稿: 米山 | 2011年8月14日 (日) 19時05分

米山氏のコメントについて
メルトダウンの時期について、今度、更迭(?)される寺坂安全保安院長が8月10日に以下のように言っている。
<メルトダウンの可能性、事故直後に認識>
福島第一原発の事故発生から5カ月を迎えるのを前に、経済産業省原子力安全・保安院の寺坂信昭院長が10日会見し、事故直後の3月12日に、核燃料が溶け落ちる炉心溶融(メルトダウン)に近い状態になっていた可能性を認識していたことを明らかにした。
 当時の広報担当の審議官が3月12日、炉心溶融の可能性があると発言したことについて、寺坂院長は「セシウムが検出されており、そういう受け止めはあり得る」と思っていたという。
 また、この審議官が発言直後に広報担当を交代させられたことについて、「発言そのもので交代したことではない」とした。
(以上朝日新聞より)
保安院は、事故後1週間以内に現地対策本部を福島県庁内に移して敵前逃亡している。(彼らなりに危険を察知していた)
メルトダウンを予測して記者に伝え、交代させられた審議官は、以前にも書いたが技術系の中村審議官である。
5ヶ月経ったから「もう本当のことを言ってもいいか」ということなのか。
グーグルで調べても出てくる。(「メルトダウンをいつ認識したか」で調べると良い)
ついでだが、こんな記事も載っていた。
保安検査官:東電の関連会社元社員を採用…福島第2配置
 経済産業省原子力安全・保安院は10日、東京電力の関連会社の元社員を、原発を監視する保安検査官として今年4月に採用し、東電福島第2原発に配置したことを明らかにした。3月末に退職者があったためという。規制当局の中立性が問われそうだ。
 保安検査官は、原発の安全性を確保するため、各電力会社が保安規定を守って運転しているかなどを監視している。同原発には5人が常駐し、全国17カ所(54基)の原発に計約100人が配置されている。うち半数以上が原発関連メーカーなどからの中途採用者で、電力会社や関連会社出身者も数人いるという。
 東電によると、この検査官は04年4月から4年間、関連会社から東電に出向し、同原発でタービンの保全業務などに携わった。今年4月に保安院に中途採用され、5月から同原発に派遣されている。
 検査が甘くなるとの懸念に対し、寺坂信昭院長は「(原発の)中身をよく知っている人で、行政当局としての業務をしっかり務めている」と釈明した。一方、東電の松本純一原子力・立地本部長代理も「保安院と東電の関係として、適切に対応されている」との認識を示した。【足立旬子】
毎日新聞 2011年8月10日 21時22分(最終更新 8月10日 22時06分)

東電(保安院)は、データーを全て管理しているので圧力容器の水位、温度、気圧、放射線とその量(中性子、ヨウ素、セシウム)でそのような状態になることは推測できたと思う。寺坂氏の発言を待つまでもなく、彼等はメルトダウンを震災直後から推測していた。様々なデーターから推測が確信に変わったと思う。

クロル38について
小出氏が東電の汚染水の分析発表データーを見てそのように判断したのは3月25日である。
「メルトダウンしているのではないか」と思いつつ、東電は、メルトダウンしていないと言い続けている時期である。
中性子はウランやその他の放射性物質から出ているが、制御棒(メルトダウンしていないのならば)やボロン(ホウ酸)で中性子を吸収しているはずである。微量の数値ならば、それもあり得るが、1.6MBq/ccと莫大な量とのこと。これだけの量が検出されたのなら局所臨界が起こっていた筈であると推測したようだ。クロル38の半減期は、37分である。
小出氏だけがこのように推論したわけではない。
モントレー国際問題研究所不拡散研究センターの研究員、フェレンツ・ダルノキ・ヴェレス博士(F. Dalnoki-Veress)による論文。
論文はWhat Caused the High Cl-38 Radioactivity in the Fukushima Daiichi Reactor #1?というもの。Nature電子版にも掲載。これによるとヴェレス博士は 3月25日に共同通信が1号機タービン建屋の溜まり水の東電の分析結果を掲載した。そこに半減期37分の38塩素が1.6MBq/ccとあったのをみてビックリした。使用済み燃料に含まれるキューリウム243、244などの超ウラン元素は自発的核分裂をして中性子を放射する。当然半減期37分という短命の38塩素も微量生成するが排水中に含まれていた量はとてもそれでは説明できないほど多量であった。1号機では時々中性子ビームを発する局所的再臨界が生じているとすれば説明できる。炉底に溜まった塩に中性子が照射され、38塩素が作られていてタービン室地下にでてきているというのである。分析間違いの名人の東電だから間違いかもしれない。(4月20日この分析は間違いと修正)しかし分析が正しいとするなら、これだけの量を製造する中性子は超ウランが崩壊して出す中性子の量では説明がつかない。局所的に臨界になっていると推定できるというのである。

「東電の無様な公表実績を考慮すれば、東電が外注した依頼先がズサンな測定をしたとしても、私は驚きません。依頼元として何も分からずに発注しているのでしょう。それで、正確な結果が出るわけがありません」
東電が分析結果を下請けに出し、下請けがいい加減な分析をしたというようなことはないと思う。専門家は、様々なデーターを分析すれば原子炉内で起こっていることがかなりの精度で解るようである。高い放射線量で原子炉に近づくことも出来ない状態で、原子炉内で起こっていることを把握するにはデーターを正確に解析するしか術がない。原子炉のデーター分析は、自分たちの命、今後の工程表などの立案や進捗状況チェックには必要不可欠であると考える。ある意味、事故収束作業の生命線であると思っている。従って、分析は極めて正確に行われていると思う。それを今までの発表と齟齬が出ないように小出しにしたり、不都合な部分は「訂正」しているのではないかと疑っている。

原発事故の処理について
「自衛隊と米軍に任せたい」というのはあながち間違ったことではないと思っている。
小生は、事故直後からこの処理を一私企業に任せるべきではないと考えていた。
国家が総力を挙げて対処すべきレベルの事故であるので自衛隊・警察・消防等が前面に出るべきであったと考えている。
東電の現場責任者やメーカー、下請けの戦力になるメンバーは残り、それに自衛隊、消防、警察、科学者等が合流しチームを作り対処すべきであった。
これは新しい原子力関係の組織にも当てはまる。保安院を解体するのは当然として、環境省の外局などの位置づけで新しい組織を作るべきではない。いざ鎌倉という時には自衛隊、警察、消防などの組織を動かせることが出来、あらゆる省庁の上位の組織の位置づけと権限を持たせないとこのような大災害には対処できないと思うからである。

再臨界について
「実際には原子炉はウラン濃縮度や燃料棒の配置から、再臨界に至る可能性が低く設計されていた。それで再臨界には至らなかった。ところが、重要なその知識も把握せずに再臨界を予想してパニックを起こした。」
東電は、メルトダウンが起こっていることをこの時点で把握していたのでメルトダウンによって水蒸気爆発を起こす危険性を感じていたのではないかと推測する。
原子炉はウランの濃縮度や燃料棒で暴走しないように設計されていることは確かである。
再臨界=爆発=破局ではない。本当の破局は、メルトダウンが起こってそれが水蒸気爆発を起こした時である。再臨界が起きるとウランの核分裂反応が始まり高熱が出る。しかし、それがすぐに爆発につながるわけではない。
水で中性子が減速されるので中性子をコントロールして核分裂反応を起こし、その時の熱を利用するのが原子炉の仕組みであるが、一定量のウランが一箇所に集まることでも臨界は起こるといわれている。(メルトダウンしてウランが塊になった状態、燃料棒の炭素やジルコニウムも溶け込んでいるが、それらが薄いところ)
しかし、持続的に起こり続けるのは難しい。臨界が起こると熱が出るが、熱が出るとその部分は必ず膨張する。膨張すると集まっていたウランの密度は下がるので臨界は解消する。熱が下がると密度が上がり再び臨界が起きる。このような状態が繰り返し起こる。ごく小さな原子炉が動いているような状態。これを局所臨界というようだ。(「局所臨界とは」で調べると出てくる)1号機~3号機の各容器の温度が下がらなかったのはこの局所臨界で説明が出来るのではないかと考えている。東電・保安院も再臨界=破局とは考えていなかったと思う。その程度の知識は持っていないとあの修羅場はくぐり抜けないと思っている。

米山氏とは原発事故についてこれまで様々な意見交換をしてきたが、観点が違う人との意見交換は勉強になった。主要な論点は整理できたと考えるのでとりあえず「諸行無常の響き」は卒業させていただきたいと思う。不勉強な小生に真摯に対応してくださったことに感謝したい。

投稿: 同世代の暇人 | 2011年8月15日 (月) 10時43分

 同世代の暇人さんから、丁重な回答を頂き厚く御礼申し上げます。以下にコメントさせて頂きます。
1.「諸行無常の響き」は卒業について
 残念ですが、ご卒業の決定には同意せざるを得ません。あらためて今迄に、色々と私にとって新しい情報を頂いたことを厚く御礼申し上げます。
 しかしこのまま終了するには、どうしても心残りが一つあります。
 それは「本当の破局は、メルトダウンが起こってそれが水蒸気爆発を起こした時である。」というご発言にあります。暇人さんは「メルトダウンすれば(水素が発生するから)水素爆発は防げない」とお考えのようです。しかしガス屋に言わせれば、水素流出の可能性が事前に分かれば、爆発を簡単に防止できるのです。ですから、この部分だけでもコメントさせて下さい。
 以前に朝日新聞の「東日本大震災復興計画私案」に私が応募したが落選した、と報告しました。その中に水素爆発防止方法を記していますので、次章で紹介します。

2.落選論文(4月28日投稿)の一部引用
[  チェルノブイリ原発事故にて、2回目の爆発は水素爆発と知られていたそうです。その情報を有効に活用して、(水素は漏れると必ず上昇し天井下に溜まるので、東日本大震災の前に)建屋の天井付近に非常時の手動窓・扉を設けなかったのが、悔やまれてなりません。(震災後)燃料棒露出の可能性が視野に入ったら、即、この窓・扉を開放すれば(天井下に溜まった水素は速やかに外に流れ出すので)水素爆発は生じません。この爆発防止法は、都市ガスに従事する技術者や現場作業員が熟知している常識です。現に、2号炉は壁と天井に穴を開けただけで、(建屋内の)水素爆発は発生しなかったのです。1、3と4号炉が水素爆発して(建屋外に)放射線物質を振り撒いてしまったために、その後の作業が如何に困難になったか。(建屋内の)水素爆発防止の重要性は明らかと思います。  ]
 注:なおカッコ内は、このコメントに追記して、分かり易くしました。

3.保安院等による3号炉の水素爆発防止策の誤り
 朝日に投稿後、東電・保安院で「3号炉の圧力容器内が不安定になった際に、水素爆発防止のために建屋の天井部穴あけ作業が議論された。」との報道がありました。ところが、「ブレーカでコンクリートを破壊すると火花が生じて着火爆発の恐れがあるので、着手しなかった。」というのです。これもオカシナ話です。ガス爆発等を常に意識してきた我々ガス屋なら「どうせ爆発するなら、水素量が少ない早いうちの方が爆発の規模が小さくて済む。壁・屋根の破壊中に上手く水を撒くなどで着火を免れる可能性も高い。」と判断して、天井部穴あけ作業に着手させたと思います。
 結局、水素が増加するのを呆然と放置し、着火しないように気をつけても、着火した故に、3号炉の水素爆発が1号炉よりも大規模になってしまった。そして、最大量の放射線物質を大気に振り撒くことになった、と推察しています。
 このような考察を経て、「東電・保安院の科学技術者は原子力圧力容器内を理解しているだけで、化学プラント(ガスプラントの上位概念)といった他分野の知識を無視してきた。(馬鹿にしてきたというべきかもしれない。)」という仮説を設定しました。このように傲慢で偏った科学技術者集団では、あらゆる事象を配慮すべき非常事態に対応できないのが当然・必然なのです。

4.落選論文について
 落選論文は、同人誌の雑報「縄文」339号に掲載されています。編集長のご好意で15部が手元にあります。宜しければ、暇人さんに一部を郵送したいのです。受け入れて頂けるようでしたら、「山草人さんにメールで『住所かメールアドレスを米山に送るよう』ご依頼ください。」
 
5.朝日新聞社説(8月14日)より
 私が考えている方向を的確に表現しています。以下に引用させて頂きます。
[  「前略」  神里達博東大特任准教授は原発事故の真因として「原子力について民主的な熟議を怠ってきた」とし、「閉鎖的な専門家システム」と「大半の国民の無関心」という共犯関係によって生じたと指摘している。  国を守る力もエネルギーも必要な機能だ。しかし、国民が自らの生命や財産まで官僚や専門家集団に委ね、ある時は傍観、ある時は狂奔した。この人任せと無責任が、度重なる失敗の根底にあるのではないか。  生命や財産は、国民一人一人が守り抜くという意思を持ち、その意思を実現できる人物を政治家に選び、働かせる。国民と政治家が問題の価値やリスクをチェックできる仕組を作り上げる、すなわち民主主義を真っ当なものに鍛え直すしかない。  死活的に重要なのは情報だ。東洋文化研究者アレックス・カーさんは「情報が官僚や一部の専門家に握られ、決断も彼らがしてきた。本来、政治家や国民が果すべき役割がなおざりにされてきた」と指摘する。  彼は2002年の著書「犬と鬼・知られざる日本の肖像」で、既に利権政治と官僚主導に加え原子力村の情報操作を日本の暗部として書いていた。「この構造は戦争から福島まで変わらない。変えるには情報独占を打ち崩すしかない」と話す。 「以下略」  ]

投稿: 米山 | 2011年8月16日 (火) 20時12分

米山さんへ
勝手に卒業宣言をして申し訳ないと思いますが、「諸行無常の響き」が貴殿とのやり取りで膨大になってしまいました。山草人氏のブログは毎日更新されていますので論点整理がついた時点で過去のブログテーマに遡るのは一区切りした方が良いと考えた次第です。
小生は、浜岡原発廃炉=使用済み燃料搬出まで運動に参加するつもりです。山草人氏が原発問題に触れたらその時点で仕切り直しになるかもしれませんね。
往復のやり取りで参考になった点をこれからも注視していくつもりです。
水素爆発の件
メルトダウンの過程で水素が出てくるのは必然です。貴殿の指摘されるように予め水素を放出させる機能を建物上部に設置しておけば水素爆発も防げたかもしれません。
(釈迦に説法かもしれないが、水素が発生していることをいち早く検知しないと人が出入りした時の酸素流入とその時の水素との割合で爆発する可能性がある。今回、水素は、圧力容器内の圧力と温度が高くなりボルトで止めてあるパッキンの処から容器外に漏れ出たのではないかと思っている。メルトダウンが想定より早かったので対処も難しかったのではないか。)
そもそも、「全電源喪失などということは考慮しなくても良い」という思想で建物や機器やマネジメントがなされていたということではないか。従って、仮定の話だが、貴殿が建物設計に携わっていてその時点で正論をはいても、歯牙にもかけられなかったと思うが・・・・。

貴殿の労作「東日本大震災復興私案」を是非読みたいと思っています。しかし、山草人氏に小生のメールアドレスや住所を知らせると本籍が明らかになってしまいます。山草人氏とはもう少し距離を保っていきたいと考えているので誠に申し訳ないが現時点では諦めることでご容赦願いたい。

神里東大准教授の指摘は、小生も全くその通りだと思う。
日本の民主主義は我々が犠牲を払って勝ち取ったものではない。敗戦で与えられたもので「もどき」ではないのか。
国民は、政治家のことをあしざまに言うが、国民は、その国の国民のレベル以上の政治家を選べない。
政治家がだらしないのは我々のレベルがその程度だということである。
情報を知る手段は、新聞やテレビからウエブに移りつつある。新聞やテレビが今の地位に胡坐をかいていると凋落は早いと思う。日本しかない「記者クラブ」制度などは早く崩壊すればよいと思っている・
大宅荘一が《テレビに至っては、紙芝居同列否紙芝居以下の白痴番組が毎日ずらりと列んでいる。テレビという最も進歩したマスコミ機関によって「一億総白痴化」運動が展開されていると言ってよい》と喝破したのは今から50年以上前のことである。
近頃のテレビは、三流芸人の学芸会を見ているようである。やっている本人達だけは楽しんでいるようには見えるが。
テレビのコンテンツも国民受けするものを作ったら必然的にこうなったのか。我々のレベルに合わせた結果なのだろう。
野村総合研究所が4月15日に発表した『家庭における節電対策の推進』なるレポート。注目したいのは「主な節電対策を講じた場合の1軒あたりの期待節電量」という試算である。
これによれば、エアコン1台を止めることで期待できる節電効果(1時間あたりの消費電力)は130㍗。一方、液晶テレビをこまめに消すと220㍗となる。単純に比較しても、テレビを消す節電効果は、エアコンの約1・7倍にもなるということだ。これを報じたテレビ局はない。一方で、テレビでは部屋の中でも「熱中症に注意してください」と呼びかけている。テレビを消して、クーラーをつけても
電気は節約できますと口が裂けても言わないよな。

卒業すると言っておきながらまた書いてしまった。これで本当に打ち止めにします。有難うございました。


投稿: 同世代の暇人 | 2011年8月16日 (火) 23時13分

 同世代の暇人さんからのご返信に心より御礼申し上げます。
 例によって、箇条書にさせて頂きますが、返信を求めてはいません。ご参考にして頂きたいと願っています。
1.卒業の件
 「山草人氏のブログ利用なのに、長くなり過ぎたから一区切りすべき」は正しい判断と思います。今後、「山草人氏が原発問題に触れたらその時点で仕切り直し」に期待することにします。(笑)

2.建物上部の水素放出窓等
 予め水素放出窓を設置するのを、過去の福島原発求めているのではありません。他の原発のストレステストの検討段階で、水素放出窓等を設置することを希望しているのです。官僚の無謬主義により福島原発の過失を認めないだけの目的で、ストレステストで、この簡単な対策も議論されないことを心配しています。

3.釈迦に説法について
 申し訳ありませんが、暇人さんの現場想定は正確ではありません。ガス拡散の現実はより複雑でありながら単純です。長くなるのでこの場でのご説明は避けます。暇人さんが正式な場で論評する必要がありましたら、ご連絡下さい。事前に議論しましょう。

4.浜岡原発の運動参加
 「小生は、浜岡原発廃炉=使用済み燃料搬出まで運動に参加するつもりです。」を心より支援します。私は原発に賛成票も反対票も放棄しています。30年後を生きる40歳以下の人達に判断を委ねているからです。しかし本日、泊原発再稼動が決定しました。「福島原発が人災という世論を放置したまま、無謬主義で根本的な技術改革をしない腹」と心配しています。このままでは人災を繰り返します。それを阻止するためには、「浜岡原発の運動参加」が重要です。頑張ってください。また、適時のご報告を宜しくお願いします。

5.雑報「縄文」339号の入手方法
 暇人さんにご興味をもって頂いたので。舞い上がっています。(笑)
 下記に郵便かFAXにて依頼すれば郵送して頂けます。(私の確信です。) 暇人さん以外の方もご希望があれば、遠慮なくご連絡ください。雑報「縄文」は下記ホームページに詳しいです。
 
http://plaza.geic.or.jp/org/kikan_syosai.php3?serial=1592
〒266-0005
千葉県千葉市緑区誉田町2-21-359
鈴木厚正さん宛   FAX 043-291-2917

投稿: 米山 | 2011年8月17日 (水) 22時49分

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