か細き絆
あの大震災で、多くの人々が大なり小なりのショックを受けた。
そして改めて、私達が人と人の間で生きていることを思い出した。
隣人の顔すら知らなくて済む現代社会は、明らかに異常なのだ。
その人と人の繋がりのか細さが、例の経済本位に由来することは間違いない。
人々の「絆」が繰り返し強調される所以だろう。
絆とは、もともと犬とか牛馬をつなぐ紐のことだ。
この国の人々が等しく貧しかった一昔前、
食べることも身を守ることも、そして一人前になるんだって、
お互いに助け合わなきゃ生きられなかった。
それが少しばかり豊かになって、苦労しなくても食べられるようになった。
その途端に、自己が独り歩きを始める。
そうして、俺様の尊厳故に家族すらが軽視される風潮が一般化する。
「どうせ、俺の人生」っと勝手気ままな若者が増えた。
その勝手ゆえに、結婚もしないし子供も育てない。
粋がっているうちに、やがて自らの生きる甲斐を次第に失っていく。
そもそも私達は、自分一人で生きている訳ではない。
世の為人のため、家族のため、
或いは好きな人のため(for the folks)に生きるんだろう。
たとえか細い絆でも、人々は絆があることで生気を生み出すことが出来る。
そして、人と人の出会い無くして人生のドラマは始まらない。
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