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2012年8月 5日 (日)

富士山の夏

新装なった田子の浦みなと公園には、全国から110名余が集まった。

標高差日本一の富士山頂往復マラニック(112km)である。Cimg7824

海抜0mから3,776mの間を24時間以内に往復する。

当然ながら山頂部は空気も希薄で気温も低い。

Cimg7822

更には下界は40度近くの猛暑が続いている。

そんなバカバカしいほど過酷なレースに何故挑戦するのか?

Cimg7830

自分でも分らないが、過去7回参加して一度も完走出来ていない。

今年こそはと、昨年の7月から基礎体力の向上を目指してきた。

そして、このところのウルトラレースの成績にその着実な成果が現れている。Cimg7831

しかしながら、日曜の昼に浜松に会合が出来てしまって、完走は無理だ。

止む無く片道完走を目指すことにした。

くれぐれも安全をとHさんの話の後、全員で「富士は日本一の山」を歌う。Cimg7835

それから白灯台の見える広場に移動して、18:00一斉にスタートである。

今回は「標高差日本一に挑戦」などと、Cimg7836

思い思いの登り旗をリックにさしている人も多く、

たなりカラフルなランナーの列が伸びている。Cimg7837

そして、その目指す先にはあの霊峰富士の山頂部が顔を見せている。

私はMMさんと二人での順調なペース走で、7:42には浅間大社に到る。

Cimg7838

大社の湧玉池を渡る神輿を巡って多くの人々が集まっていた。

その脇を抜けて本格的な登りが始まる。

今年は満月近い月が道路を照らしていて、漆黒の闇は免れた。Cimg7840

37km地点の料金所跡には地元富士市のNさん親子がエイドを設けてくださった。

エイドと言ったって、深夜の1時なんだから簡単に出来る話ではない。

とにかく地獄に仏で、ここで改めて英気を補給させていただいた。

Cimg7839

かつてなく順調に進んで、午前2:50新五合目に到着した。

ここで防寒対策を整えて、火山灰の坂道に挑むのだ。

例年苦しめられる吐き気や頭痛もない。Cimg7842

空には星々の輝きが一面に広がっている。

「今年はいける」そういう実感と共に、ヘッドランプの明かりを見つめて進む。

が・・・・、山にガスがかかっている?

そんな馬鹿なと思って、片目をつぶるとガスは消えうせる。Cimg7841

片目だけがガスって見えるのだ????

7合目、夜が白み始めてご来光が近づいている。

この時点で、私の片目が厚い曇りガラス状態であることを確認する。

しかし「目は、登山と関係ないだろ」と度々確認してみる。Cimg7844

登頂を断念する理由にしたくなかったのだ。

だが8合目を前にして、呼吸は乱れ喉が渇く。

楽に進めそうで一向に進んでいかない。

時刻は、午前7時を過ぎようとしている。

もう、これ以上進むと昼の会議に間に合わない。

ようやく納得のリタイアをすることにした。Cimg7845

下り初めた時点で、片目の視力はほとんど無くなっていた。

「医者に行かなきゃ…」とひたすら思っている。

五合目に到着すると、そこに医療担当のNHさんがいた。

Cimg7846

「目が見えない」と言うと、「あっ、それは高山病ですね。早く医者に行ってください」だと。

ついでに「網膜剥離してるかもしれませんね」と言う。「エッ、・・・・・・」。

ともかくも、五合目に待機していたタクシーに飛び乗って山を下った。

Cimg7847

下界に降りても、視力はやや回復した程度で真っ赤に充血している。

明日は朝一番で医者に行く他あるまい。

かくして、今年の富士山の夏は終わってしまった。

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コメント

大丈夫ですか?絶好調だったのに・・・過密スケジュールでしたものね。お大事にしてください。心配です。

投稿: よっぴー | 2012年8月 5日 (日) 20時46分

 相変わらず、気圧差にやられますね~。
大丈夫ですか~兄貴。

投稿: ひろ | 2012年8月 6日 (月) 02時07分

山草人さま。

大変でしたね。その後いかがですか?
MMさんとは、終盤ゴールまでご一緒しましたが、
山草人さんに大変感謝されてました。

きっと、完走の力を譲られたんですね。
お疲れ様でした。
ありがとうございました。

投稿: あだち。 | 2012年8月 6日 (月) 13時59分

平凡な言葉しか出てきませんけど

お疲れ様でした。
お体をいたわって下さい。

もっと書きたかったがでてきません。

とにかく御自愛を!

投稿: かわい | 2012年8月 6日 (月) 21時18分

目の不調のため断念したとは知らず、
先に行ってしまい申し訳ありませんでした。
お大事にしてください。

山草人さんの素晴らしい伴走のおかげで完走できました。
ありがとうございました。

投稿: まるやま | 2012年8月 6日 (月) 21時24分

 よっぴーさん、ひろさん、あだちさん、それにかわいさん、ご心配頂いて申し訳ありません。
 目が見えなくなるなんて、私も初めてのことでいささか慌てましたが、それも昨晩までで、今朝はほとんど回復しました。

 それで眼医者に行ったのですが、「目の病気にそんなのは有りません」「おかしいのは頭なんじゃない」と言われてしまいました。

 どうなってんでしょうね?

私は、医療担当のNHさんを、医療人として改めて見直してしまいました。多分、彼女の見立ての方が正しいんでしょうね。
 くそっ、あの藪医者め!

 それからまるやまさん、やっぱり完走出来たんだね。凄い。私は7回挑戦してすべからく撤退しているのです。
どうやら富士山と相性が悪いんでしょうかね。でも、一晩退屈せずに済みました。こちらこそ、ありがとう。
              山草人

投稿: 山草人 | 2012年8月 6日 (月) 22時36分

山草人さん、それは酸欠による症状です。
私も酸素なしで8156mの頂を墜として、7600mの最終キャンプに帰る途次、一番星が太陽より大きく見えた。テントで灯したローソクの火が何本にも見える症状が出た。中枢神経が狂ってくる。

明後日の、掛川での講演、懇親会「世界の屋根パミール高原」でお待ちしています。

元気になって良かった。

投稿: 日本のマルコ・ポーロ | 2012年8月 8日 (水) 23時37分

山草人さん、こんにちは
富士山往復マラニックお疲れ様でした
清水のともです。
体調、目の具合はいかかでしょうか?
お大事になさって下さいね
また他の大会でご一緒出来る日を楽しみに
しています

投稿: とも | 2012年8月10日 (金) 15時00分

 ともさんには、二度も激励の声をかけていただきましたね。

 何時も追い抜いていくあの姿、どっしりとした体躯と力強い脚の運びは、私の羨望の的とも言えます。

 下りのタクシーの中から片目で、ともさんのあの美しい走りを見ました。

 「若いってのは素晴らしい」正直そう思いました。
 私だって気持ちは40台なんだけど、体は正直だね。これからもよろしく。
                 山草人

投稿: 山草人 | 2012年8月10日 (金) 21時55分

私も初めて富士山に登ったときには右目が全く見えなくなった経験があります。
途中で座り込んでいる山草人さまを見かけて、
高山病ですか?と声をかけると、
「高山病なんかなるもんか。まだまだ・・・」と、再び登り始めてました。
格好良い!なんて軽い言葉かも知れませんが、
いつもそんな姿を拝見していると、我々こそ
「年齢を重ねるのも悪くはないな」って、本気で思いますよ。
細胞は衰えるかもしれませんが、魂はより逞しくなっていくものなんですね。

投稿: motoji | 2012年8月12日 (日) 14時15分

motojiさん。
細胞の衰えで中枢神経がマヒしたんでしょうかね。

 この一年間、随分鍛えて富士山に臨んだんだけどね、諦めずに来年も挑戦します。

 そう!、馬齢も決して悪くないって思ってます。昔よりもずっと心が自由だし、何でもできるって気持ちもあります。

 富士山にこそ嫌われたけど、まだまだ体力も精神力も十分に有るからね。

 motojiさん、ありがとう。
                山草人

投稿: 山草人 | 2012年8月12日 (日) 20時23分

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