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2013年1月27日 (日)

幸福の深淵

この近世の物質文明は、素晴らしい快適性を作り出した。

労働は軽減されたし娯楽も増えたし、寿命も大きく伸びた。

Cimg9640_2

ならば幸福なはずだが、一向にそんなことにはなっていない。

TVが家に初めて来た時、とてつもなく嬉しかった。

最初の車だって、洗濯機だってそうさ。

だけどそれは何時の間にか当たり前になって、むしろ不満が高じていく。

昨夜、ブータンの大学で教鞭をとる村松一弘さんの話を伺った。

村松さんは、JICAのシニアボランティアとして三年前から派遣されている。Cimg9641

ブータンと言う国は、インド゜とチベットに挟まれて

九州程の地に人口70万の山また山の国だ。

産業だってダムの水力発電の電気をインドに売る程度で、農業しかない。

国土は狭いけど、トンネルが一つもないから、国土を横断するにはバスで三日もかかる。Cimg9642

敬虔なチベット仏教国だから、神の住む山に穴をあけることが出来ないのだ。

だから農産物ですら、輸送が出来ずインドに輸出することもできない。

TV放送は、1999年に始まった。

電話も最近、携帯電話として初めて通じるようになった。Cimg9643

自給自足の経済で、一か月一万円で十分生活できる。

言うならば江戸時代の日本の風景に近い。

子供達は小学校から寮費も食費も全てタダだが、

毎朝お経を唱えてから授業が始まる。Cimg9644

家族は叔父叔母、姪甥まで一緒に住んでいて、お互いに助け合っている。

子供を育てるのは、近所の年寄りで村落共同体が扶助の機能を果たしている。

輪廻転生を教え込まれているから、犬猫牛すべからく大切にする。

恐らく動物にとっては、幸福度最大の国ではなかろうか。

それに、この国では花を摘むことすらしない、生き物との共生の国だ。

1990年代の国民調査では、国民の97%が幸福だと答えている。

だが物質文明の波は、この国にもじわじわと入り込んでいる。

便利を求めれば金が要る。Cimg9645

それが得られなければ、不幸と言うことになる。

その文明の利器はインドから買い求めるしかない。

今ブータンでは、ルピークライシスが始まっている。

物を買いたくっても、インドの通貨ルピーが無いのだ。Cimg9646

そんな事もあって、国民総幸福度は年々下がって、最近では60%を下回ったようだ。

この日本だって、物の無かった江戸時代の方が人々の心は遥かに豊だったろう。

果たして、物が私達を本当に幸福にしたのかどうか…。

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コメント

すごい!さすが山草人さん
うまくまとめてくれました。

日本・・・ブータン

考えさせられました。

やっぱり
こころの豊かさ・・・物じゃないね。

幸せの基本を考えさせられました。

投稿: ヒロボー | 2013年1月27日 (日) 20時40分

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