富士の高根に
太宰が「富士には、月見草が良く似合う」と書いたのは、
河口湖から甲府に向かう途中の御坂峠からの富士である。
御坂から望む富士は富士三景の一つとされている。
何故月見草が似合うと言ったのかって・・・
それは富士山が余りに堂々としていて、正面向かって対峙すると自分が負けてしまう。
それで、えぇ~い風呂屋のペンキ絵だとか、芝居の書割だと難癖をつけているのだ。
人を圧倒する富士の威容に畏怖を感じる人は少なくないだろう。
そう、富士山は遠くから眺め崇める山なのだろう。
その富士山に、通常の登山の他に富士登山競争や山頂往復マラニックなど、
私はもう彼是30回以上は登ってきた。
しかし田子の浦と山頂を往復するマラニックだけは、とうとう完走を果たせないでいる。
富士の高根を目指して0mから3,776mを登りきるのは、それだけ苛酷なんだ。
ともあれ今日は、盆休みで混み合うかもと思いつつ、敢て世界遺産を登ることにした。
水が塚からシャトルバスで30分、富士宮口五合目からのアタックである。
外国人が目立つ程度で意外に混み合ってはいない。
それでもテンポを早くすると息が上がる。
ゆっくりと登って3時間半、昼前にはお鉢の縁で昼飯を食べていてた。
かつて富士は信仰の山で、このお鉢(噴火口)に銭を投げ入れて願をかけた。
火口に降りて掘り返せば、江戸期の銭が結構出てくるのではないか。
絶好の天気で、山頂でも小春日和と言った感じである。
しばし火口を眺めていたが、今度は御殿場口から宝永山経由で下ることにした。
東側は富士山の火山灰が厚く、その砂走りを飛ぶように降りるんだ。
宝永山が噴火したのは1707年、307年前のことだ。
宝永の火口はなだらかだが、大きな噴石を散在させているところが古富士と違う。
ともかく、1時間40分程度で五合目に降りついてしまった。
簡単に往復したようだけど、それでも富士の高根である。
決して容易い山ではない。
そう、眺める富士の方が何倍か気高いが、登ってこその人生である。
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コメント
やっぱり
行ったんですね。
世界文化遺産と騒がれているだけで
混まなかったようですね。
登りも
下りも・・・順調で
これなら
富士山頂往復マラニック
諦めるのは
まだ・・・早いです。
投稿: ヒロボー | 2013年8月15日 (木) 10時39分
世界遺産の富士山へ登頂おめでとう



やりましたね
私も今年の富士山難儀して往復できませんでした
今年で最後だと思ってた富士山頂往復マラニックもう無理でしょうか
で明日「青春18きっぷ」で富士山登ってこようかと思ってます。
投稿: うっちゃん | 2013年8月18日 (日) 06時35分
いやいやどおして、うっちゃんならまだまだ大丈夫、完走出来ますよ。
確かに年齢は大きな負荷になるけど、事前の準備や鍛錬で出来るでしょう。
三浦さんのエベレスト登頂に比べりゃ、ちょろいもんですよ。
私の場合は、疲労時の高山病対策だな!!!
明日は、青春の富士山を楽しんできてください。
山草人
投稿: 山草人 | 2013年8月18日 (日) 18時35分