ビバ吹奏楽
高等学校の吹奏楽部定期演奏会に出かけて、二つの大きな感動にめぐり合った。
学部創立以来30回を重ねてきた節目となる演奏会だ。
吹奏楽と言うのは、一人ひとりの音を重ねて重厚な音楽に仕立てるところに魅力がある。
とは言え、現在の部員は14名に過ぎない。
それでどんな定期演奏会が出来るのか、実は心配しながら出かけたのである。
しかし、そんな心配は瞬く間に消し飛んでしまった。
50名余の卒業生が全国から駆けつけて演奏に加わったのである。
それぞれ多忙な中で練習を重ね、仕事もやりくりしての参集である。
それに演奏に加われないOBは、舞台周りの手伝いを買って出ていた。
駐車場整理や観客誘導は、野球部の生徒達がキビキビとやっている。
吹奏楽部の日頃の応援演奏への感謝の気持ちだという。
第一部のクラッシック・ステージは、
地元でバッハ合唱団を主宰し、顧問OBでもある保科洋さんに指揮棒を振って頂いた。
第二部のゲスト・ステージでは、作曲でも著名な福田洋介さんが素晴らしい指揮をされた。
殊にこの演奏会のために福田さんに作曲して頂いた「調和のエンブレム」は、
本校の校訓「中庸の道」がヒントなのだそうで、クラシカルなマーチであった。
この曲は、今後も色々な機会に演奏することが出来そうである。
そして最後の第三部は懐かしく心温まるポップス・ステージであった。
半世紀余の学校の歴史を改めてしみじみと感じさせられた、
その結晶の一場面として、正に素晴らしい演奏会ではなかったかと思う。
もう一つの感動は、一人の女生徒の頑張りと活躍であった。
彼女は部長を務めていた昨年夏、
横断歩道を歩いていて、携帯を見ながら運転していた車に跳ねられた。
危篤が続き、ようやく意識が戻ったのは3ヵ月後だったろうか。
一生寝たきりかと思われたその彼女が、口を利くようになり、そして車椅子を降り、
とうとうこの演奏会に登場出来たのである。
足を引きずりながらではあったが、事情を知るだけに感動的で胸が熱くなった。
今年のこの演奏会は、演奏の素晴らしさとは別に、
人のつながりや人間そのものを思わされる感動に溢れていたのである。
実に素晴らしい吹奏楽のひと時を過ごすことができた。
正に、吹奏楽万歳である。ありがとう。
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