淡墨桜を観ん!
世に日本三大桜と称される1000年以上を経た老樹がある。
福島県の三春滝桜、山梨県の神代桜、岐阜県の淡墨桜である。
樹であれ人であれ、老成すればそれなりの風格を持つようになるべきだ。
しかして、その風格とは如何なるものならんと考えていた折、その淡墨桜が咲き始めたと聞かされた。
それで矢も楯もたまらず、今日は押っ取り刀で岐阜県本巣市の山間にある桜を訪ねたのである。
はて2分どおり(くらい)も咲いているだろうかと、気もそぞろに急な坂を登っていくと、
ヒノキ美林の裾にグウ〜ンと淡墨桜が大きく浮かび上がって、何と六分どおり咲きである。
桜は樹齢1500年、幹回りは15m以上はあろうかと言う巨木であって、
その老樹がその老いを感じさせず、見事な風格で花を咲かせていた。
それは1500年もの間花をつけてきただけに、聞きしに勝る説得力と重みがあって、
ウゥ〜ンと流石に暫く声が出せなかった。
無数の添え木に支えられているのだが、過去に何度も枯死寸前まで追い詰められ、
最大の危機は昭和34年の伊勢湾台風で太い枝も折れ無残な姿に変わり果てたと言う。
しかし作家宇野千代らの尽力が実って、今日その姿を感動を持って観ることが出来る。
それにしても、この3月に六分どおりも咲くとは、暖冬の影響とは言え珍しい事らしい。
多分もう一週間先に日延べしていたら、花は墨になっていたかもしれず、
最高の雄姿に立ち会えたの幸運に一種の興奮を覚えていた。
これも風格を探す予感と言うべきか、遥々駆け付けた甲斐があったというものである。
それにしても、1500年の風格は生命そのものを考えさせる何物かを秘めている。
淡墨桜の興奮が少し覚めると、近くの大垣にも桜の名所があることに気付いた。
大垣城外堀(水門川)には石垣の上に桜並木があり、その下を舟下り出来るのである。
早速そのおつな風情を味わうべく舟着場に行くと、何とそこには新婚さんが。
まさに春の風情となって、そよぐ春風と清楚な水の流れを楽しむ旅人になっていた。
今日は、迷わず一直線に岐阜まで出かけて正解であった。
| 固定リンク
| コメント (2)
| トラックバック (0)
最近のコメント