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2016年12月19日 (月)

山のあなたになお遠く

憧れとか希望、夢などと言うものは、自分の知らない未知の世界にあると思いがちだ。

大田川河口の水田地帯に生まれた私は、町も山も知らない田舎の子供だった。

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そしていつも、田圃の先のあの山の向こうには何があるんだろう?と、おぼろげな期待をしながら育った。

自分の見渡している世界の他にきっと別の世界があると感じていたし、未だ見ぬ世界に憧れていた。

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小学四年の頃、幼な友達と連れ立って小さな自転車で、遠く東に見える山に向かったことがある。

あの山に何があるのか?・・・・、それが、どうしても知りたかったのである。

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大変な冒険だったが、行って見れば何のことは無い、雑木が生い茂っているだけだった。

以来、成長と共に私の行動範囲はドンドン広がったが、夢を探す気持に変わりはなかった。

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現実を逃避していたのかも知れないが、いつも山の向こうにロマンチックな空想をしていた。

そんな子供にとって、カール・ブッセの「山のあなた」は、子供心を納得させる詩だった。

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  山のあなたの空遠く  「幸」住むと人のいう。

  ああ 我ひとと尋めゆきて  涙さしぐみ かえりきぬ。

  山のあなたになお遠く  「幸」住むと人のいう。

そうしてこれまで、ブッセの言う「幸」を求めて、この国のあちこちは勿論のこと、

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広い世界にも足を伸ばし、高い山にだって登ってきた。

幸の住みそうなイベントに出かけ、映画を見たり本を読んだり、何時も幸を探してきた。

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だけど期待に胸膨らませて新しい街を訪ねても、住んでいるはずの幸はいつも幻影のように消えていく。

それで、幸と言う名の青い鳥を探し続けて70年近くになった。

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当然ながら、幸は何処かの町に転がっているものじゃないって分かっている。

そもそも幸は探すものでなく慈しみ育てるものだが、それでもついつい探してしまうんだ。

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それに、未知のものに触れ合うあのドキドキ感は、人生の醍醐味だしね。

 

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