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2018年4月26日 (木)

NO3ー万平ホテル

ミュージアムは、ホテル一階の半地下にあった。物置を改造したのか、さして広くない空間に幾つかの展示があって、かつてこのホテルで会談したキッシンジャーと田中角栄、それに並んでジョン・レノン夫妻の写真が展示されている。

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「みんな、死んじゃったよな。どんどん、時は過ぎ去って行く。」「えっ、小野ヨーコはまだ健在じゃない?」「あぁそうだったか。それにしても、ビートルズは昔の話になったね。あのぉ〜、俺が20代の後半だったけど、ミュンヘンに行った時の事さ。夜の街を歩いていると、通りのあちこちにストリートパフォーマーが立っていてね。それで、ギターを抱えたミュージシャンに、イエスタデー・プリーズなんて言って、円陣を組んで歌ったことがあるんだ。あれはもう40年以上前のことだからなぁ〜、歳を取る訳だよなぁ。」としみじみと思いだしながら、「そうだなぁ〜、俺達はこのホテルの、そういう昔に丸ごと包み込まれているって感じだよね。」

 ホテルのレストランは、年代物のシャンデリアのかなり控えめな光の中にあってほの暗く、庭の向こうの建物の白壁が浮き上がって見え、しっとりと落ち着いたたたずまいを醸し出していた。ディナーの席に着くと、男は「ワインを・・」と言って、幾分高価なボトルをオーダーしていた。今夜は、少しくらいリッチな夜にしたいと思ったのである。

ほのかに緑がかって見えるその液体に、シャンデリアの輝きが映っている。そのグラスを掲げて「二人の、これからのために」と軽く合わせてから、グラスを口にした。口に含んだワインには、舌が感じさせてくれる十分な香りがあった。

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