賤ヶ岳と天女の羽衣
琵琶湖と余呉湖を隔てて、得意げに盛り上がっている小高い山並みが賤ヶ岳だ。
里山が幾分高くなったほどの山だけど、天正11年の昔羽柴秀吉と柴田勝家の雌雄を決する戦が繰り広げられたところだ。
歴史は羽柴秀吉の地滑り的な勝利になり、この戦争を機に豊臣政権樹立へと向かったのである。
時期は4月22日と伝えられ、それは萌えるように新緑に溢れた山容であったのに違いない。
戦の主戦場は余呉湖らしいが、その戦の喧騒は嘘の様に静まり、桜も残り花が吹雪の様に散るだけで、その湖面のようにあくまでも静かな佇まいである。
そのおおよそ7kmの余呉湖を十周するのが、今日の天女の羽衣余呉湖ウルトラマラソンである。
幾分の風こそはあったが、心配された雨が降ることもなく、思いの他良いコンディションになった。
早朝から顔見知りを見つけてのエールの交換が続いていたが、7:00一斉にスタートである。
スタート地点から余呉湖までは2km弱、その後はそれぞれ自分のペースでの走りになる。
肝心の私だが、朝のうちはかなり体が重かったのだが、2周回する頃には足がスムーズに回転するようになった。
という訳で、昨年とは打って変わって、次々と(少し大げさか)周回遅れの仲間を追い抜くことになった。
やはり追い抜かれるよりも、追い抜くほうが元気が出る。
湖畔で静かに時間を過ごす人それぞれの思いを想像したり、時折並走する仲間と話をしているうちに、距離はどんどんすすんでいく。
周回7kmという区切りは、一年や一か月の区切りと同じで、私にとってはむしろ走り易いようだ。
ともあれ、8時間31分でゴールし、風呂に浸かって疲れを癒したのである。
ところで天女だが、余呉湖は古くから天女伝説のある所で、菅原道真は天女の産んだ子供ということになっている。
そして余呉湖のほとりに、昨年までは樹齢数百年の羽衣掛け柳がそびえていた。
その老木が先日の大風で倒れ、根元からバッサリと切られてしまったのだ。
孫枝が横から出ているものの、これが羽衣をかけるほどの大樹になるのは果たして何年先の話だろうか。
それまでのしばらくの間は、天女が下りてきても衣を脱いで水浴びはできないのである。
賤ヶ岳は歴史変える契機を作ったが、羽衣掛け柳は人々の心に細やかなロマンを作り続けてきた。
みなさん、その土地の歴史って面白いと思いませんか?
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