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2018年5月11日 (金)

Julia

第三ステージは42kを走るのだが、この日は幾分風が穏やかな朝を迎えた。

空は霧もなく、朝から快晴(と言ってもこの時期毎日快晴なのだが)である。

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この日も私達4人(日本人3人とイングランドのJulia)は、歩調をを合わせて進んでいた。

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一人が遅れれば待ちってな具合で、コースロストしないようお互いに気を配っていた。

13k程で海岸に出て、そこの給水ポイントからはずっと海沿いを20k北上するのである。

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実はこの20kには難儀して、波打ち際の硬いところを選んで走るのだが、足が沈んで一向に距離は伸びない。

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慰めはオットセイの群れや水鳥なのだが、それとてもゆっくり眺めている暇はなかった。

この海岸砂漠はスケルトン・コーストと呼ばれ、アンゴラ国境まで延々と海と砂漠の背中合わせが続くのである。

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世界で最も不毛の地の一つに数えられ、骸骨海岸と名付けられた様に、かつて沖合で座礁する船も多かったらしく、幾つもの船の残骸が残されていた。

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船員が運よく岸に辿り着いても、この砂漠から生きて帰ることはまず不可能だったという。

ところでこの七日間私達とずっと行動を共にしたJuliaだが、彼女はケンブリッジ大学法科卒業の弁護士である。

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実直な性格で、こんな激しいレースに何故挑戦するのかと問うと、毎年何かにチャレンジすることを自分に課していて、今年はこれなのよと言う。

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更に、「ちょっと、頭がおかしいのかも知れないわよ」と笑った。

少しも派手さのない彼女の内面には、相当に強靭な精神が宿っているのである。

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そのJuliaが、一隻の沈船の前で立ち止まり、腰に巻き付けていた旗を取り出した。

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旗には彼女のひいお爺さんの写真がプリントされていて、そこは彼女の先祖の遭難の地だったのである。

どうやら今回のチャレンジの目的はこの沈船だったようで、彼女の顔には安堵の色が浮かんでいた。

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そんな彼女の心境を慮ることもなく、日は西に傾き、私達は先を急いでいた。

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その先の10kは内陸に向かってどこまでも行く、360度の地平線が続くのである。

その地平線を追って一直線に進むのだが、進めば進んだだけ地平線は向こうに逃げていく。

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とこまで行っても同じ景色が続いて、正に時間との根気競べであった。

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そう・・・それは私達が時間を追いかけているのと同じで、何処かに終わりがあるとしても、(時の旅人としての)私達の毎日はこの地平線と同じだと思っていた。

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Juliaが100年前の先祖の終焉の地を訪ねたように、私達の過去も未来も時の旅人なのである。

ともあれ、長かった一日だったが、17:50陽が西に傾く中を今日のテントサイトに入ったのであった。

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