空と紅葉
天高く秋の空が広がり、日長も日一日と短くなっていく今日この頃である。
そして、私も何時かは、その虚空の空に溶け込むのだろうと思うことがある。
その折り敷かれた落ち葉を踏みしめながら、何故か命の輪廻を思うのである。
翻ってこの地上には、生き物の織りなす春夏秋冬があり、必ずや終わりがある。
今日の一日を大切に生きたかどうか、それはかなり難しい設問なのだが、秋の空がそれを問うている。
曾於太白峰前住 (かつて太白峰の前において住み)
数到仙遊寺裏来 (しばしば仙遊寺の裏に至って来たる)
黒水澄時潭底出 (黒水 澄める時 潭底 出で)
白雲破処洞門開 (白雲 破るる処 洞門 開く)
林間暖酒焼紅葉 (林間 酒を暖めて 紅葉を焼き)
石上題詩掃緑苔 (石上 詩を題して 緑苔を掃う)
惆悵旧遊無復至 (惆悵す 旧遊 又到るなきを)
菊花時節羨君廻 (菊花の時節 君が廻るを羨む)
白居易の「仙遊寺に寄題 す」の一節である。
この季節、林間に紅葉を焼きて酒を暖め、親しき仲間と語らうのも、それは殊に重畳。
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