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2019年1月16日 (水)

時代の心

長野県に「無言館」と呼ばれる美術館があって、かつて訪れて衝撃を受けたことがある。
展示されているのは全国から集めた戦没画学生の絵で、学徒動員を前に描かれたものだ。

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中でも印象深いのは、愛しい恋人を描いたもの(時に裸婦だったりする)で、自分の将来と愛人への狂おしい気持ちが伝わってくる。
芸術というものは「心」だと言うが、これ程心揺さぶられる絵を見たことが無いと思った。

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時代の要請とは言え、その二十そこそこの命を国に捧げんとする若者達の心や如何。
鹿児島の知覧を訪れたからには、この国の犯したおよそバカバカしい悲劇(特攻)について触れなければなるまい。

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これはそう・・・たかだか73年前(私の生まれる直前)の出来事なのである。
悪化を続ける戦況の中で、沖縄上陸を阻止せんとして立案されたのが、その特攻攻撃だ。

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制海権・制空権を奪われて為す術も無く、最後の破れかぶれ作戦に打って出たのである。
操縦訓練基地だった知覧飛行場は俄に特攻基地に変じ、各地から若い隊員が集められた。

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空襲や艦砲射撃から逃れるため、半地下の兵舎に暮らし、若き彼らは故里の母を思いながら「我、突撃す」と散っていった。
その数1,036名、その大半は海の藻屑と消え、敵艦にはかすり傷さえ与えなかったのである。

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何と馬鹿なと思うのは簡単だが、時代の心とは時にとんでもない狂気を産み出すのだ。Img_1872_2
今回も知覧特攻平和会館を訪れ、改めて戦争の空しさ、馬鹿馬鹿しさを思ったのだが・・・。

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実は私自身は、こんな重苦しい記念館を訪れたくは無かったのである。

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もう四度目になるだろうか、私だって国に準ずる青年の熱い気持ちは痛いほど分かる。
だがそれ以上に、青年達をその境地に追い詰めた時の軍指導部を憎みたい。

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およそ千人余の若き命を、あたら無駄に散らせた責任は、一帯誰が償ったのか?
「いさぎよく 風に散りにし 花のこと 御国のためと ただ進むらん」・・・人の一生って、或いはそうかも知れないと思った。

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コメント

私も長野の「無言館」と鹿児島の「知覧特攻会館」に行ったことがあります。
特に無言館での母親に宛てた手紙や恋人の裸体の絵を観て涙しました。
私の伯父は特攻戦闘機に乗り、飛び立った時に終戦を迎え命は助かったもの、戦争の恐ろしさを私達に何回も話してくれました。
お国のために散った若い戦士たち。
絶対に戦争はあってはならないと思います。

投稿: さくら | 2019年1月17日 (木) 06時33分

回天の存在も忘れてはいけないと強く感じています。
ゼロ戦闘機は映画、小説で有名になり広く知られていますが回天は有人特攻潜水艦なので一度乗ったなら故障でも中からは脱出出来ません。
こんな悪魔のような戦術にまで追い込んだ当時の政治家、軍部のことを忘れてはいけません!

投稿: かわい | 2019年1月17日 (木) 10時21分

 さくらさん、かわいさん、コメント有り難うございます。誠にそうですね。戦争は起こしても起こさせてもいけません。
 純粋無垢な青年達の心を特攻に仕向けた指導者は最悪ですが、彼らも又その時代に流されていたのでしょう。人間とは、所詮その程度の思慮しか無いのです。
 今、世界を覆いつつある「自国第一主義」は、一つ間違えると真っ直ぐに戦争に向かうのでは無いかと思っています。
               山草人

投稿: 山草人 | 2019年1月17日 (木) 12時52分

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