2007年8月 1日 (水)

邂逅の森

平成16年の直木賞作品である。

作家は「熊谷達也」だ。Cimg3328

山の狩人、マタギの人生を追った物語だ。

自然と人間のかかわり、そして、その人間の生き様と時代の流れ。

壮絶な熊との死闘。

私も、一人のマタギになった様な気持ちで読んでしまった。Cimg3253

瑞穂の国とは言え、この国は山懐の深い国だ。

稲作をする里の民ばかりが、暮らしてきた訳ではない。

当然のことながら、農地を持たない山の民や川の民の暮らしが、営々と続いていたはずである。

そしてマタギは、紛れもなく土地を持たない山の民の生業であった。

その山の民の暮らしは、戦前までずっと続いていたのだ。Cimg3472

『・・・「富治」の意識が戻ったのは、激痛のせいだった。

あろうことか、雪の上に倒れた富治の右足を、熊が喰っていた。

ふくらはぎの肉を喰いちぎり、脛の骨を砕いていた。

悲鳴が漏れた・・・・』

この本で、山に生きた一人の人生を、たっぷりと味わうことが出来た。

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2007年7月14日 (土)

天竜川百話

静岡県には、天竜川をはじめ安倍川、大井川などが圏域を大きく区分けしてきた。Cimg3623

その区分けは、川西、川東などと言われて、人々の生活や性格さえ異ならせてきた。

大河は地域を区切るだけでなく、大地を潤し、私たちの生活の基盤を作ってきた。

中でも天竜川は、長野県の諏訪湖を源流として、愛知、静岡県を流れて遠州灘に注ぐ。Cimg3368

全長213kmの大河川であり、私の住む町も天竜川の作った沖積地である。

その天竜川を、色々な角度から見直してみようと言うのが、静岡新聞の天竜川百話である。

平成17年7月から今年の6月まで、20人のライターによってリレー執筆されてきた。Cimg3367

その百話が、つい先日一冊の本になった。

実は、私もこの1/20を書かせていただいた。

私自身はあちこちに色々と書いてはいるが、新聞の連載は結構気を使うものなのだ。Cimg3366

特に、幾分科学的な要素を持つものは、独断では拙かろうと言う思いがある。

まあ~、今では高速道路であっという間に越えてしまう川。

しかし、この川によつて様々な歴史や文化、参議洋画培われてきたことが理解されるはずだ。

是非、ご一読をいただきたいと思う。

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