邂逅の森
平成16年の直木賞作品である。
山の狩人、マタギの人生を追った物語だ。
自然と人間のかかわり、そして、その人間の生き様と時代の流れ。
壮絶な熊との死闘。
瑞穂の国とは言え、この国は山懐の深い国だ。
稲作をする里の民ばかりが、暮らしてきた訳ではない。
当然のことながら、農地を持たない山の民や川の民の暮らしが、営々と続いていたはずである。
そしてマタギは、紛れもなく土地を持たない山の民の生業であった。
『・・・「富治」の意識が戻ったのは、激痛のせいだった。
あろうことか、雪の上に倒れた富治の右足を、熊が喰っていた。
ふくらはぎの肉を喰いちぎり、脛の骨を砕いていた。
悲鳴が漏れた・・・・』
この本で、山に生きた一人の人生を、たっぷりと味わうことが出来た。
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